クレームメールをいくつか書いた (1) −論文誌−

 8月末に某誌に投稿した論文の状況を毎日のようにウェブサイトでチェックしているのだけど、8週間後の今もいまだに査読中という状態。自分も先日ここで査読をやったから知っているが、この論文誌では査読者に与えられる査読期間は3週間だ。2名いる査読者のうちの1人かもしくは両方が、締切を過ぎても査読コメントを寄越さずにいるのだ。

 6週間経ったところで編集者にメールを書いたら、「査読者には定期的に督促メールを出しているし、必要なら査読者を替えることもしている(だから心配しないで待っていなさい)」という普遍的な答えが返ってきて、がっかりした。
 8週間目に再びメールを書いた。より刺々しい内容になってしまった。
 「私が知りたいのは、あなたがどれくらい頻繁に査読者に督促しているか、今まで何人の査読者を取り替えて来たか、レポートを遅らせているのは2名の査読者のうちの1人なのか2人なのか、だ。編集部には状況をもっと明らかにする義務があると思う」
 返事はまだない。私のこの不躾なメールが論文受理に対して不利に働かない事を祈る。それよりも、1つの論文の結果だけを心待ちにしているなんて器が小さいぞ、個々の論文の状況なんて忘れてしまうくらい沢山の論文を同時進行させればいいじゃないか、と自分に対して思ったりもする。

 現在の論文誌一般の査読システムが、もはや破綻しかかっていることも常々感じている。
 受理までの期間が早いことを標榜している日本の某論文誌でも2ヶ月以上待たされた事があって、その時の当方の問い合わせに対し編集部から返って来た答えは「2〜3ヶ月かかるのが普通でして」というものだった。査読者が皆、約束通りの期限までに仕事を上げれば、このようなことは起こるはずがない。
 約束を守らない輩を責めるのはたやすいが、これが頻繁に起こるようでは、むしろシステムに問題があると考えるべきだろう。昔に比べて総投稿数が激増し、査読者の負担が大きくなっていること、研究者が負わされる業務や責任も一般に増える一方であること、にもかかわらず査読業務は相変わらず無報酬であることを考えたら、査読なんてマジメにやってられるか、と思う人が増えるのは自然の成り行きではある。
 ではどうすればいいのか、という問いに対する自分なりの案はあるけれど、その新方式がうまく回るかどうかは今は自信がない。もう少し考えてからまた議論したい。