謎のターボポンプ

 7/6:午後、大学事務に「荷物が届いている」と呼び出される。何だろうと思って行くと、驚いた事にそれは 500 L/s の比較的大きなターボ分子ポンプ1台だった。事務係は業者に電話して私宛だと聞かされたとのこと。なぜこんなものが届くのかさっぱりわからない。自分もその業者に問い合わせたら、一定期間貸し出す旨の書類をメール添付で見せてくれて、そこに書かれた宛先はたしかに私の名前になっているが、私はこんなものを貸し出し要求した覚えもなければ発注した覚えもない。「詳しく説明してくれ」と返事したらそれっきり。さて事務室に置かれたままの大荷物の運命やいかに。このまま業者が返答を寄越さなかったらポンプはタダで我々のものになるのかどうか。

 7/8:返事を催促したら、業者から「できるだけ早く情報確認して知らせる」と応答があった。でもポンプの謎が解明されるのには時間がかかるかも。このポンプ貸出しの書類を作ったのが普段我々への窓口になっている営業の女性なのだが、最近別件の見積りで連絡を取ったら彼女は産休中とのことだった。休みの前に何故か今回のポンプ貸出しを手配して、人々を混乱の渦に巻き込んで去って行ったわけね。産休中の彼女に会社は連絡を取れるのかどうか。
 じつは我々はこの型のポンプを過去2年間に2台購入している。いずれも彼女を通して買ったもの。まさか2台買ったので1台サービスというわけではないだろうな。

 7/21:その後、僕のところへは業者からの返事はいっこうに来ない。事務室から研究所の秘書さんに文句(?)が行ったらしく、秘書さんが僕の代りに業者に電話を入れてくれた。その結果わかったことは、先方としてはミスではなく、純粋に新型のポンプを僕に使ってもらうために貸与という形で送ってくれたらしい。やはり僕が先方に現有のポンプの性能や付属品についていろいろ問い合わせたことが背景にあるらしい。そういうわけで好意によるものだとはわかったが、そんなこと勝手に決められても困るのだ。こっちにだって都合がある。500 L/s のサイズのポンプを真空チャンバーに着け外しするのは結構大変なのですよ。発送する前にこちらの了承を得るくらいのことが何故できないのか? 繰り返しになるが、このメーカーはポンプの性能は良いのに営業面のサービスに本当にイライラさせられる。
 で結局、ポンプは先方が引き取るということで話がついたと。ようやく一件落着である。だが変なもので、返却するとなると惜しいような気分にもなる。まあ全て無かったことにして忘れよう。近い将来に手持ちの2台のどちらかが壊れて「スミマセン、やっぱりこないだのポンプを貸して下さい」なんてお願いする羽目になるのだけは避けたいものだ。(おしまい)