古典SF

 昨夜は帰りそびれて職場泊。早朝に帰宅して昼まで寝る。洗濯・入浴・炊飯を同時進行。食事して、ランドリーで乾燥して、また職場へ。測定装置の試料交換とか共同研究者との連絡とか勉強とか。

■『幼年期の終りアーサー・C・クラーク福島正実訳 (1953年)
 毎日風呂の中でちまちま読み進めてようやく読了。
 前半の展開にぐいぐい引き込まれた。折しも米ソの宇宙競争が激化している地球に、はるかに高度な技術力を持った異星人集団‘オーバーロード’がやってきて君臨する。自分たちを凌駕する大きな存在が現れただけで、人々は愚かな身内争いをやめ、地球上から一切の戦争が消える。その過程がじつに科学的説得力に富んでいて、なるほどと思わせる。現実の組織でも、畏怖すべき大ボスがいるだけでまとまりが生まれることってある。
 その後、地球上に生じる変化がかなり長期的なスパンで描かれるのだが、ラストの展開はあまりに壮大で、ただ「ほえー」と感心しながら追うのがやっとだった。じつは自分はこのように身近な世界からかけ離れたスケールの物語が苦手だ。しかし「もしも人類を凌ぐ大きな存在が現れたら」という命題に対する作者の描像には心が踊った。本当にオーバーロードがやってきて戦争を止めてくれたらなあと思ったり。
 人間ってのは最後の瞬間まで探究することをやめない生物だという主張も伝わってきて、元気づけられる。