サラリーマンの死

 ミーティング。自動測定装置の試料交換など。
 昨夜、コンビニに‘うまい棒’があったので購入してみた(初)。1本9円だって。これ1本だけ買ったら店員がどんな顔をするか興味あったのだが、さすがにできず、必要ないのにカップラーメンを一緒に買った。気が弱い。

■『椿山課長の七日間浅田次郎 (2002 朝日新聞社)
 昨年末に読了したやつね。死者が成仏する前に7日間だけ現世に戻って未練を晴らすという、まあよくある話である。ユニークなのはあたかも運転免許センターのような天上界の入口のシステム、そして現世に戻る人は姿を変えて別人になりすますというルール。中年サラリーマン、ヤクザの組長、7才の少年の3人がそれぞれの思惑を抱えて、近しかった現世の人々に正体を隠して会いに行く。
 死んでしまった彼らのことを、周囲の者はいったいどう思っていたのか。その解明だけでも結構なサスペンスで、引き付けられる。結局、3人ともとても愛され慕われていたことが明らかになって感動を誘うが、しかしながら(だからこそ)誰も100%幸せにはなれない。人は悲しい。企業戦士の悲哀、ヤクザの悲哀、コドモの悲哀、それを囲む老人や女性や親のそれぞれの悲哀が描き出されて、そのたびに読んでいて目頭が熱くなる。どうして浅田氏はあらゆる層の人間の涙腺のツボを知っているのだろう? タイトルには椿山課長とあるけど、登場する全員が主人公と言っていい。特に、課長と同期入社の女友達が思いを吐露するくだりと、どこまでも人を救おうとする爺さんと聡明な孫の活躍が印象的。
 殺人のエピソードなども含まれているにもかかわらず読後が爽やかなのは、殺した人間も殺された人間も天上界でピンピン振舞っていて、よほどの悪事を働いたのでない限り極楽に行けるという免許センターのシステムのおかげかもしれない。皆に愛されたり大抵の人が極楽に行けたりと、かなりメルヘンチックではあるけれども、死について考えさせられ、生きることが愛おしくなる物語。
 春にドラマ化だそうで。とりあえず見てみよう。