日常 (3/1 - 3/15)

3/1 (水) 雨、7〜13℃
 製膜2回。XRD 測定をしに KKS に移動するも、他のユーザーがソフトウェアを終了させてしまっていたため測定できず。少しデスクワークして夕食して、職場に戻り、明日の試料の準備をする。
 今の実験を再開したきっかけになったライバル研究は、最初の発表の予稿締切りが僕のポスター発表より前だったことが判明。他方、発表は僕のポスターよりも後。どちらが影響されたわけでもなく、双方とも独自に発想した実験だったか。自分を突き動かすモティヴェイションが 20% くらい低下した。

3/2 (木) 晴→曇、4〜12℃
 KKS で試料の組成を同僚に EDX で測定してもらう。9割方満足だが1割不可解な結果。職場に移動。ちょうど実験室の窒素ガスを使い切ったところで製膜ができないので、実験は一段落して結果の考察とかボンベの手配とかメール書きとか。試料の電気抵抗をざっと測って、不可解と思われた組成はちゃんと抵抗値と対応していることを知る。製膜の再現性がまだ完全ではないということだな。

3/3 (金) 曇一時雨風強し、6〜18℃
 PC のデスクトップの整理など。夕方 XRD 測定のため KKS へ。前回と同じユーザーがまたもソフトウェアを終了してあったので、頭をカッカさせながらアライメントをやり直して、さあ測定という時に自分がケアレスミスをしてしまう。退勤直前だった管理者を呼んで助けてもらい、ついでに件のユーザーの所業について訴える。週末測定を走らせて帰る。
 論文Bの査読結果が来る。残念ながらリジェクト。まあかなり高い IF の雑誌だったし、査読者たちの意見は拮抗していたとはいえ悪くても「平均レベル」という評価だったので、少し直して別雑誌へ投稿すれば有望だろう。

3/4 (土) 曇、8〜12℃
 仕事せず。Garage Band の打ち込みなど。午後、Petite Arche に買物少々。夕食はパスタ屋へ(4週間ぶり)。

3/5 (日) 晴/曇/雨、5〜12℃
 外出も仕事もせず。打ち込み。プロジェクタスタンドの工作(7割完成)。髪を切る(2ヶ月半ぶり)。

3/6 (月) 晴/曇/雨一時強し、冷え込む
 KKS で XRD 装置から試料を外して、職場へ、物品発注とか研究計画とか論文Bの見直しとか。明日の製膜の準備。夕方再び KKS へ。プチ製膜。Leroy Merlin で材料の物色。夕食は自室に帰って野菜炒めを作成。

3/7 (火) 曇/小雨、6〜10℃
 製膜2回。1回目は取り出し後に操作ミスでダメにしてしまった。2回目はとりあえず成功。
 日本の業者から見積り書が FAX で来るとのことで待っていたが、もしやと思って確かめたら、当研究所の FAX 機は既に回線を閉じていて使えないことが判明。隣の研究所の FAX 機は稼働しているそうで、そちらで受信することに。それにしても KKS のほうでは今も秘書が普通に FAX で物品発注しているので、ウチの FAX の使用終了には驚いた。大学と企業の常識の違いだろうか。そりゃメールでやりとりしたほうが簡単なのは間違いないが、問題は FAX しか使えない業者がいまだに多数存在することだ。同僚らはそんな業者と取引する機会はないのだろうか?

3/8 (水) 曇、6〜14℃
 本日も製膜2回。窒素ボンベが納入されたので据え付ける。なんか疲れた。研究への意欲はあるが、自分の身体や周囲の状況がなかなか思い通りに動かないからかな。

3/9 (木) 曇
 午前、KKS でセミナーを聴講。職場に移動。午後、同僚学生AのD論公聴会を聴講。プチ製膜1回。買物して帰って夕食して、久々に夜の再出勤。試料の熱処理。ついでにプロジェクタスタンドの足になる材木を職場にある鋸で切る。
 職場周辺の木に花が付き始めた。鳥の囀(さえず)りも聴こえる。春が来たのだな。昨年同じことを感じたのがついこの間のことのようだ。1年の間に何をやっただろう…orz

3/10 (金) 晴、10〜18℃、暖かい。実験室内の温度計は 26 ℃を示していた
 日本からの FAX、来たら FAX 機の部屋の事務職員が連絡をくれるということだったので待っていたが、来ないので、確かめに部屋へ出向いたら、2日前に既に受信されていた。気付かなかったらしい。おまけに紙が切れていて2ページ目が未出力だったし、その対応に僕が悪戦苦闘している間、件の職員はこちらを一瞥もせず自分の仕事にかかりきり。FAX 機を使わせてくれたのはよいがこれほど親身になって助けてくれない職員も珍しい。前から知っている人だけど一気に印象がネガティヴに。
 実験案を考へる。午後、KKS に移動して、XRD 測定とプチ製膜。夕食もそこで。SEM も予約していたけど期待したような試料ができなかったので中止。
 急遽、来週水曜のミーティングで成果を示さねばならなくなったので、職場に戻って少し仕事する。じっさい示せる成果はほとんど無いのだが、数日間で1つでも実験できれば…。

3/11 (土) 晴、6〜18℃、暖かい
 図書館で本を返して2冊借りる。毎回、返却期限(4週間)ギリギリになってしまう。利用者カードの有効期限が切れていたので更新。昼食にサンドイッチでも、と思ったが、なりゆきで駅前通りのベトナム料理デリでチャーハンと牛肉炒めと焼き鳥を食す。14 € も散財してしまった。職場へ行き、来週のミーティング用のスライドを作り始める。素材は7割そろった。あとの3割は月曜に同僚に頼んで調達する予定。Atlantes で買物して帰る。夕食時に酒が進んで、ワイン瓶 (750 ml) を8割空ける。ストレスを感じているのか?

3/12 (日) 曇一時雨、7〜17℃
 外出せず。スライド作り。しかしついついネットで森友学園関連の情報をサーフィンしてしまう。記者会見で一方的な主張に終始する籠池親子、大阪府私学課・課長の参考人招致を拒否する松井知事、籠池の参考人招致を拒否する自民党、それでも安倍政権を信奉している支持者。反吐が出そう。複数のメディアの世論調査で、内閣支持率が先月から 5 ~ 6 % 下がったことが報じられた。まだ手ぬるいが、この調子で落ち続ければいい。

3/13 (月) 晴、8〜16℃
 KKS で XRD 装置から試料を外して、職場へ。測定はたぶんうまくいったと思う。化学科の同僚Dと打ち合わせ。次の実験を考え、そのための「仕掛け」を作る。
 記者会見で籠池側から拒絶されたかに見えた菅野完氏、その後彼らの懐に入り込んで、翌日には理事長への単独インタビューを敢行したという展開にアッと驚いた。映像を見ると会見とは一転、旧知の友人に話すように思いのたけを語る籠池氏。昨日の時点では籠池は悪者としか見えなかったが、悪者がもつ人間的な面を垣間見せてくれた。北欧のヴァイキングが、ある作品では顔の見えない凶悪集団として、また別の作品では家族もある人間的な男たちとして描かれていたように。菅野氏の活動から目が離せなくなった。

3/14 (火) 快晴、3〜16℃
 日本の共同研究者先生とスカイプで研究打ち合わせ。雑談も含めて1時間半。いつものこと。昨日計画した実験だが、作った仕掛けは最初は使わず、シンプルな方法でやってみた。結果は明日。
 応物学会の懇親会の様子の写真が SNS で回ってきた。思えば僕はこの学会で懇親会に出たことは1度もない。十年以上前に別の学会で懇親会に出たとき、喋る相手があまりいなくてつまらなかったので、なんとなくそれっきり。今ならどうだろう、僕は面識のない相手とでも共通の話題を見つけて親しく話せるようになっただろうか。

3/15 (水) 曇→快晴、6〜13℃
 昨日の実験の試料取り出し。ちょっと苦労した。やはり仕掛けはあったほうがいい。一見、ひどいことにはなっていなくてホッとした。別の試料でも同様にやってみよう。あとの時間は共同研究先の作成した学会用スライドのチェックとか、論文Cの改稿とかのデスクワーク。
 今日は籠池氏来訪中の菅野氏の自宅前に報道陣が詰めかけて、各社が菅野氏にぶら下がり取材をする様子がテレビで生中継されたとか(ただし政権を脅かすような話になったとたんに中継を打ち切ったとか)。籠池氏が心を許す唯一の書き手ということで、一介のフリーライター錚々たる大手メディアの記者たちがネタを集(たか)っている。不思議な光景だ。「自分より、なぜ松井や迫田を取材しない」と記者らに正論をぶつ菅野氏。柵(しがらみ)だらけで自由な取材ができない大手のフットワークの悪さが改めて浮き彫りに。それにしてもこの人、ほんの数日間で、ある意味メディアの頂点に君臨してしまったな。