『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』S. マルティノー監督 (2015)

 マンガの 3D アニメ化は残念な見栄えになる事が多いが、本作はとことん原作のキャラデザを尊重しておりその点は良かった。むしろ過去のピーナツアニメの中で最も原作絵に忠実だったと言ってもよい。2D 原作 3D 化作品の常套手段がいくつか認められた。例えば冒頭でまず 2D 絵を出してそこから徐々に 3D に広げて行く(『タンタン』でもそうだった)とか、登場人物が空想を巡らす時に吹き出しが現れてその中の絵だけは原作風の 2D 線画アニメ表現になるとか(『プチ・ニコラ』TV 版もそうだった)(この線画アニメがシュルツ氏のペンタッチそのもので、嬉しくなった)。

 内容は、ピーナツ漫画の要素を余すところなく詰め込もうとしたことがよくわかる。中でもあの「赤毛の女の子」が登場して、初めて台詞を喋るというのが目玉だったようで。彼女の姿を謎のままで貫いた原作をリアルタイムで楽しんだ世代にはやはり抵抗がありそうだが、今のコドモたちが観るぶんには何の問題もないのだろう。試験の成績優秀者リストに赤毛の子やマーシーと思しき名前(それぞれ Heather Wold, Marcie Carlin)がフルネームで書かれているところにも目が行った(もっとも、そうである確証はない)。