対話をしない政権

 内閣の支持・不支持率が逆転。このタイミングを待っていたわけではないけど、日頃安倍政権に感じていることを記しておきたい。1回では収まらないが、愉快な話題でもないので続きを書くかどうかは未知数。

 民主党政権から第二次安倍政権に交代した 2012 年末以来、自分も自分の周りの友人たちも誰一人としてこれを支持する者はおらず、いったい誰が支持しているんだろうと不思議に思っていた。ようやくわかってきたが、安倍政権を熱烈に支持しているのは大雑把に言って「日本会議」関係者と「ネトウヨ」らしい。日本会議にもネトウヨにも共通している性質は、仮想敵を用意して攻撃することと、自分と異なる意見を聞こうとしないことだ。

 敵をわざわざ作って民の怒りを煽るのは独裁者の常套手段であり、安倍政権もその手法をみごとに踏襲している。政権奪回当初から、日本が道を誤ったのはすべて民主党政権が悪いんだという論法を好んで使う。つい先日も新国立競技場のデザイン案を決めたのは民主党政権時代だったなどと、言わなくてもよい弁解をしてましたね。彼らに言わせれば「敵」とは「話し合いの通じない相手」であり、問答無用で力で制圧すべき対象。ISだろうと中国だろうと、本来、どんな気難しい相手でも外交で話し合いの場を作って対話・交渉・駆け引きする努力をしなければならないが、独裁者はその努力を軽んじて戦力に頼る。

 対話をしようとしないのは国民に対しても同じ。安倍氏や菅氏は「国民に丁寧に説明して理解を求める」と常に言う。たしかに一方的な説明には力を入れているが、逆に国民の声に耳を傾ける気はないらしい。

 敵を作らないと勢力を維持できない手法は、次々に新しい敵を必要とする。想定内の「敵」も意図せざる「敵」も増えてきた。野党支持者、沖縄県民、福島県民、大学教官、日教組原発縮小論者、農家、中小企業、非正規雇用者、そしてコドモを戦場に送りたくない親。国内における「敵」が次第に増え、それ以外の層が減衰している。自然の成り行きだと思う。政権の支持率と不支持率が逆転し始めたのもその現れだ。対話をしない政権は遅かれ早かれ崩壊するはずだ。