日常 (4/18 - 4/30)

4/18 (土) 晴、8〜17℃
 重要なミッションが終わってリラックスした週末。普通に家事をして、午後3時頃に外出。書店で BD 1冊買う。図書館で本を返却。Petite Arche でクリーニングに出して買い物を少々。
 帰宅後、同僚Bからの誘いで総勢4名でビールと夕食。皆で店を探して Rue Colbert を歩いている時に僕が「ここはたまに来る」と指差したのがきっかけで、食事は Au Lapin qui fume に決定。成り行きで皆に紙ナプキンでオリガミ(鶴)を披露して賞賛される。芸を持っていると見られるのは嬉しい一方、本当に日本以外の人にはオリガミが新鮮なんだな、と改めて驚く。

4/19 (日) 快晴、5〜17℃
 5月の電車を予約。机の上を大々的に整理。あと細かい雑用。自転車日和ではあったが、疲れて時々昼寝したりしていたら外出しそびれた。夕食に鶏ももの丸ごと揚げを作る。骨付きのまま揚げたら中まで火が通らず失敗。

4/20 (月) 快晴、7〜21℃
 ガスボンベ会社に状況把握の催促メールを書く。光学部品メーカーの返信に質問メールを図付きで送る(まず先方の言う配置を理解するのにすごく時間がかかった)。同僚Pと共同研究の打ち合わせ、そのためのデータ送付。同僚Eと今後数週間の実験計画。

4/21 (火) 快晴、9〜22℃
 光学部品メーカーからの返事を検討し、描像がクリアになった。見積もりに進めそうだ。
 昼食した後、KKS へ移動。ようやく復旧した SEM と XRD、ついでにスパッタ装置で製膜テスト。テスターによる導電性チェックと XRD ではほぼ同じに見えた2枚の膜が、SEM では驚くほど異なる様相を呈していた。研究の目的からすればまだ成功とはいえないが、予想を超えた現象が好奇心をビンビン刺激してくる。 はー、面白い。ブロワ城のプロジェクションマッピングとかを観に行くより面白い(行ったことないけど)。

4/22 (水) 晴
 久々の製膜1回。光学系についてリーダーと討論。翌日の基板を仕込んで退勤。夕食して早くに寝てしまう。

4/23 (木) 快晴、6〜23℃
 製膜2回。やっているうちにターゲットの揺動機構がぎくしゃくし始め、ついに全く動かなくなる。おそらくベアリングにアブレート粒子が付着して摩擦が生じているのだろう。なんてこった。本シリーズではあと3回製膜せねばならないが、だましだまし続けられるかどうか。

4/24 (金) 曇、11〜19℃
 1号機を開けてターゲット交換とか光学系の距離測定とか。この機会にしばらく前に中で割れたターゲットを取り出して観察。光学部品メーカーにメール。午後、査読。夕食はパスタ屋へ。

4/25 (土) 曇一時雨、12〜21℃
 主にダラダラと過ごす。しばし共著論文Cの改訂稿チェック。夕方、Petite Arche に買い出し。
 DVD『刑事コロンボ 死者の身代金』(1976 年)観る。犯人の義娘が存在感あった。脇役にこういう予想のつかない行動をする人物がいると面白い。
 BD "La Balade de Yaya Tome:9" 買って読む。最終巻。1巻発売から4年3ヶ月。長かった。それなりに大団円だが、いくつかの点でカタルシスを得られない「そりゃないよ〜」と言いたくなる終わり方であった。あと人物の目の描き方が少女漫画チックになっていてびっくりした。まあ作画担当 Golo Zhao 氏としては本作に続いて他の作品も仏で続々と発売されているので、成功と言ってよいのではないかな。

 ”官邸ドローンおじさん” (僕よりも1回り年下だけど)のブログを読んだり、彼が描いた昔の漫画を読んだ。ラディカルではあるが、被害が大きくならないよう細心な計算をしているあたり、悪人とは思えない。逮捕された今後、彼がどの程度自分の主義主張を世間に発信できるかは疑問だが。今回の件では屋上の異物に2週間気付かなかった官邸の危機管理能力の無さが露呈しただけでも収穫。海外に仮想敵を設けて国民を煽っている場合ではない。

4/26 (日) 曇時々雨、9〜17℃
 ダラダラと過ごす。時々共著論文Cの改訂稿チェック。夕方、気分転換に1時間ほどトラムに乗りつつ子供向けフランス語本を読んだり。

4/27 (月) 晴、10〜15℃
 だましだまし製膜2回。

4/28 (火) 快晴→曇、2〜14℃
 だましだまし製膜2回。これで今シリーズの製膜は一応終了。合間に発注すべき化学物品の調査。
 日曜に知った放送中の TV アニメ "Les grandes grandes vacances(長い長い休暇)" を公式ネット動画で1日2話ずつ観ている。1939 年、ノルマンディの祖父母の家に週末を過ごしにやってきたパリの兄妹が、滞在中に戦争が始まったためそこに留まって長期間を過ごすことになる話。他の作品に例えるのはあまり生産的な感想ではないが、タイトルはおそらく "Deux ans de vacances(二年間の休暇=『十五少年漂流記』)" を意識しているだろうし、内容は『少年時代』『火垂るの墓』それに『抵抗の詩 PART II』が少しずつ混じっているような。でも Emile Bravo の絵が話に実によく合い、各キャラの個性の描写も上手くて、つい見入ってしまう。とくにハックルベリー・フィンみたいな森の少女に心を奪われてしまった。あとネット動画で字幕が出せることに今気付いた! 仏語の勉強に最適!(本編の公式動画は日本から観られないらしいので、twitter ではこれ以上なるべく言及せず、見る人の少ないこちらの日記で思う存分語る次第)

4/29 (水) 曇→晴、4〜16℃
 午前中は職場で雑用。昼に KKS に移動して、プチ製膜1回、XRD 測定、光顕観察。製膜装置と XRD がいずれも予約してあったのに他の人に使われていて少々イラッとする。言ったらすぐ使わせてくれたけど。夕食もそこで食して 20 時ギリギリに退出。
 例のアニメのネット配信、第7話を観ようとしたらこの回だけ公開中止になっている。不自然だ。内容に政治的問題があったか、抗議が来たか? DVD でこの回が収録されなかったり大幅に修正されたりしていたら嫌だな。

4/30 (木) 曇→雨、7〜13℃
 物品注文とか光学系の光路図描きとかミーティングのスライド準備とか。
 例のアニメの最終 10 話を見終わる。後半はレジスタンス運動が主題(この程度のネタバレはいいよね)。最初のうちは『少年時代』や『火垂るの墓』との共通点を感じていたのだけど、最後に勝つ展開は日本の戦争物話にはなかなかない。フランス革命でも第二次大戦でも、仏の民衆は抑圧されたら団結し闘って自由を勝ち取ってきたというわけか。いろいろ語りたいけど、また回を改めて書こう。ともあれ戦中子供物語の世界に新風を吹き込む良い作品だ。日本の子供たちが見たらどんな感想を持つだろう。上田三根子っぽいキャラクターとシリアスな戦争テーマの組み合わせに違和感を持つだろうか? いや、ジブリ絵でなくても名作は出来ることを知って欲しい。
 安倍氏の米国両議会での 45 分間の演説映像を見る。米議会の演説自体初めて見たけど、話の途中でいちいち聴衆がスタンディングオベーションするのが奇異に映る。こういうマナーなのか。紙を見ながらの喋りとか英語の発音のクセはともかく、演説内容はけっこう高く評価している人が多い。米国側から事前にさんざん釘を刺された結果、無難な内容になったのでは。
 流れで BBC の R. ファインマン特集番組も見る。 字幕を出せるので助かる。貴重な映像が多数。自由な気骨と問題を追究する姿勢は自分を含む多くの人にとっての憧れだ。でも時々その著作や言葉に触れて思い出さないと、ともすれば目の前の雑用に流されてしまう。