パリ1日目 - 古書、文房具、ラーメン -

 前の晩に夜更かししたのが災いし、二度寝して起きたら列車発車時刻の 26 分前。うわっと叫び、慌てて洗顔もシャワーもすっとばして服を着て荷物持って飛び出す。トラムがちょうど来たおかげで余裕を持って駅に着けた。荷造りと着る服の用意を前夜にしておいてよかったけれど、出かける時の最終確認など何もしていないのがやや不安。

 TGV でパリへ移動。15 区の宿に投宿。パリの宿って朝に着いてもチェックインしてくれることが多いので助かる。
 ホテルの前で古書市をやっていたのでしばし眺める。毎週土日に開かれるらしい。古典本や版画から漫画雑誌まで、ちょうど日本のデパートで年に1〜2回開かれる古書まつりのような規模と多彩なジャンル。もしやと思って Langelot の原書を探してみたら、青少年向け図書のコーナーに5冊ありました! 子供の頃に邦訳『名探偵ランジェロ』シリーズが小学館文庫から出ていて、ページの上半分で劇画(画:御厨さと美)、下半分で小説が進行するという斬新なスタイルが結構好きだった。ただし原作は普通の挿絵入り小説で、ザラッとした雰囲気。逆に原作に親しんだ仏人が日本版を見たらどう感じるだろうか。金髪に黒眉毛という日本版の主人公の造形も仏人には違和感あるだろうな。今回は4€ はたいて "Langelot et le satellite" 1冊だけゲット。頑張って読むよ。

 パリの文具店を何軒か回る。親戚のおじさんに頼まれているボールペンの替芯探し。既に製造中止となった品で、いま店で替芯を求めると別メーカーのものを紹介される。使えないことはないが、ペン先の出方がわずかに短いため書き心地が良くない。そこでフランスの文具店で古いオリジナル替芯を入手できないかという依頼。今回はネット情報を手がかりにいくつかお店を当たるも、結局現物は入手できず。ただ面白かったのは、どの店も「うちには無い」と言いながら必ず「あそこの店に聞いてごらん」と次の手がかりを示してくれたことだった。その紹介先でやはり無いと言われることも多いけど。

 夕食はオペラの『なりたけ』(初)でこってりラーメン。18:30 の開店前から行列ができている。店のスペースと食事の庶民性は一般的なケバブ屋に近いが、客席数と客の回転率はケバブ屋とは大違いだな。理科大の研究室を連想する。狭いスペースで極限まで成果を生もうとするのがある種の近代日本的カルチャー。
 なりたけ は 2011 年にオープンしたとのこと。オペラ界隈を歩くと、他にもさぬきうどんの店や回転寿司の店など、以前無かった新しい日本食の店がオープンしているのに気付く。選択の幅が増えたのは嬉しい。他方、私が渡仏以来ひいきにしていたラーメン屋『ZEN』の前を通ったら、客がガラガラだったのでちょっと衝撃を受けた。知る限り生麺を使っているパリのラーメン屋はかつてはここぐらいのものだったのだが、新顔の なりたけ も自家製麺しているとのことで。在仏庶民日本食業界も競争が厳しくなっているのだ。