世に盗人の種は尽きまじ

 賀新正旦( ← 流行らせようとしている)
 自分も日本も、これから厳しい試練に直面することと思うが、お互い前向きに生きて行きたいものである。

 新年早々景気の悪い話で恐縮ですが、盗難事件に遭いましたもので、以下ちょっと愚痴を書かせていただきます。(今後、状況変化に応じて更新の場合あり)

 1月5日早朝、パリ=モンパルナス駅でバックパックが置き引きに遭った。TGV に乗車して指定された席に荷物を置き、車内のトイレに行った隙のことだった。発車前だったのがいけなかった。おそらく何者かがさりげなく持って降りたに違いない。あっと思った時はまさに発車時刻、降りて犯人を捜しに行くこともできない。その後いくら車内を探しても見つからず。
 重要な書類、カード、デバイスをことごとく1つのバッグにまとめていたのが、丸ごと持って行かれてしまった。加えて、被害額としては小さいが、これまでの生活をメモしていた手帳や、研究の思いつきや細かい情報のノート、わざわざ国会図書館に出向いてコピーしてきた仕事用の文献なども失われた。ショックは大きい。不幸中の幸いは、自室のカギはたまたまズボンのポケットにあって難を免れたこと、PC のデータは出発前にバックアップを取っておいたので別のマシンで仕事を続けられることくらい。

 教訓。一人で電車に乗る場合、発車前に荷物を置いて席を立ってはいけない。貴重品は分散させる。特に財布やパスポートは肌身離さず身に付けておくべき。(遠い昔に初めて海外旅行したときはマジメに首から下げた袋に入れていたけど、だんだんうざったくなってバックパックに放り込んで事足れりとするようになっていた…)

 最近の自分はこういううっかりミスによるトラブルが多いな。それにしても今回は人生で五本の指に入るくらいの事故だった。事故というものの多くは数秒から数分程度の短い時間に発生するものだということも実感。幸いまだ交通事故や人の生死に関わる事故は経験したことがないが。気を引き締めろ、と神様が与えた試練かも。
 今後数ヶ月はこの「事故」の影響を引きずって暮らすのだろう。とはいえ、どうしても取り返しのつかない被害というものは無かった。平常心を保てばなんとか通常通り生活できそうだ。こういう時はいつも「○○に比べれば自分は幸運だ」と思うのが癖になっている(良いのか悪いのかはともかく)。今回は「津波で家を流されるのに比べれば幸運だ」と思った。
 自分がうっかりしていたせいではあるが、これでまたフランスを好きだと思う気持ちからは遠ざかってしまった。長期的な人生計画を考えよう。

 (1/11 追記)思いがけず、盗まれた物品の一部が職場に郵送されて来た! パスポート、フランスの滞在許可証、財布に入れていたカード類などが戻って来た。
 差出人等が書いてないので経緯はよくわからないが、おそらくどこかに捨ててあったのを警察か何かが回収したのだと思う。
 電子機器類はさすがに戻って来ない。あと、一緒にバッグに入っていたノート類もない。バッグから中身だけをぶちまけられていたら持ち主はわからなくなるだろうからな。でも一番重要な書類が帰って来たので本当に助かった。捨てる神あれば拾う神あり。ちょっと違うか。