1982 年以前の消えた歌たち

 本日の深夜に NHK 総合で『みんなのうた発掘スペシャル』が放送されるという情報を入手し、急いで東京の妹にメールして録画予約を頼んだ。こんど帰国した時に視聴するのだ。
 過去の『みんなのうた』曲の映像・音声の多くが NHK にも残っていないという事情はこの日記にも書いたことがあると思う。ただ何曲くらいが失われているかを NHK が公にすることは長い間なかった。しかし今日公式サイトを見てみたら、具体的な数字が記してあった。

今年50周年を迎えた「みんなのうた」、過去に放送した楽曲はなんと1,300曲以上を数えます。しかし、残念なことに映像や音として記録に残っているのはそのうち800曲ほどにすぎず、500曲ほどは失われてしまって、もうお見せすることができません。

 それでも3分の2近くは残っているのか、思っていたより多い。でもこれは多分「映像か音声の少なくともどちらか」が残っている曲の数で、映像が残っている曲はさらに少ないだろう。

 最近は NHK は『みんなのうた発掘プロジェクト』と銘打って一般視聴者が持っている古い映像・音源を提供してもらうよう呼びかけている(その成果が今日の番組)。そのためにどの曲が局に残っていないかという内部事情を率直に曝け出すことにしたようで、上記サイト内のデータベースで曲ごとに映像や音声の有無がチェックできるようになっているのだ、これは興味深い。いろいろなキーワードで検索してみた結果、わかった限りでは「映像・音声を探しています」とラベルされた中で一番新しい歌は『広瀬川慕情』(1982 年 6-7 月)。1978 - 1981 年にかけては「映像を発掘(しました)」というラベル、つまり局側で持ってなかったのを視聴者から提供してもらいましたという曲が目立つ。これ僕が一番よく見ていた時期だよ! 放送開始当初の「ビデオテープ1本が自動車1台分の値段」なんて時代には、不要と見なした映像は消してテープを繰り返し利用していたのはわかるが、時代が下って家庭用ビデオが安く出回るようになってからも、担当部署は映像をバンバン捨てる慣習をなかなか改められず、後世に文化を保存しようという意識改革が為されるまでにかなりのタイムラグがあったということだ。残念に思う。
 ついでに、2011 年の元旦の特番で「発掘」された例として放送されていた『ポンタ物語』(1978)、『シャーロックホームズとワトソン博士』(1975)の2曲は、いまデータベースでチェックすると何のラベルもついておらず、まるでずっと局に保存してあったかのようにシレッと発掘映像の一コマを載せている。まあ局側も恥ずかしいんだろう。

 1つ不思議なのは『高山にカンカコカン』(1969)の映像・音声が無いらしいこと。小学生の清水ミチコが映っているということで、ずっと後に『テレビ探偵団』(wikipedia によると 1989 年 10 月 1 日放送)で映像が紹介されたのを見たのに。あれは NHK から借りた映像じゃなかったのか、もしくは貸した後で NHK で行方不明になったか…。
 ともかく1本でも多く発掘できたらいいですね。うちにはビデオは無かったから映像は無理だけど、カセットテープの音声だけなら提供できる曲があるかも。