東日本大震災

 津波が田畑の上を船やビルを押し運んで行く映像を見て衝撃を受けた。こんなことが起こるなんて。仙台近郊の津波を被ったあたりは、自分は学生時代にバイクで走り回ったり海水浴に行ったりしたこともあり、知らない土地ではない。自然の前には人間は無力だと改めて思い知らされ、壊滅的な打撃にただ呆然とする。
 こんなプレート境界だらけの不安定な岩盤の上に乗った島国で、日本人はよくここまで頑張ってきたものだ。いや、常に地震や台風といった天災の恐怖が心の底に染み付いているからこそ、できることを精一杯に頑張ってこれたのかもしれない。地震のほとんどないフランスとは人々の考え方が違って当たり前なのだ。

 今、福島の原発事故がチェルノブイリ級の規模に発展しないかどうかが一番心配で、ニュースをチェックしている。現時点(日本時間 22:00)で「格納容器」が破損していないこと、冷却用に海水を注入し始めたことの報道があった。大規模な放射線拡散に至る可能性は低下したようで、少し安心した。

 深刻極まる状況の中でささやかながら感銘を受けたのは、与野党の政治家が党派を超えて人命救助に力を合わせると語った話。かねがね足の引っ張り合いのような党間抗争に国民はうんざりしていたはずだ。巨大な逆境の出現によって不毛な争いを止めざるを得なくなるという、『幼年期の終り』に似た状況が現実になったのだと思った。新聞も、何か事故が起こるたびに責任者を糾弾するといういつものトーンを今回は抑えているようで、評価できる。あと、日本人の沈着冷静さを中国のネットユーザーらが賞賛しているというのも嬉しい。また個人的に何名かの知人の方から、海外にいる私に「君の家族は大丈夫か」と心配するメールをいただいた。ありがたいことです。

 今後日本経済が復興するまで長い時間がかかるだろうけれど、自分は日本を信頼する。
 現在、被災して生命の危険に直面している方々には(そんな人がこの日記を読んでいるかどうか知らないけど)、どうか気持ちを強く持って生き延びて下さい、と祈るしかない。