サザエさんのデジタル化

 最近の TV アニメの彩色って、時々人物の肌色にグラデーションがかかっているなど、手塗りでは不可能だった技法が可能になっているね…と思ったのがきっかけで、現在の彩色のデジタル化状況を知りたくなった。コドモの頃は、アニメの作り方を説明する本を見ると必ず、セルに人間が手でトレースや彩色を施す過程が示されていたものだ。自分も中学生の頃、セルのトレースや手塗りを少しだけ体験した思い出が。その後デジタル彩色技術が開発されたとなんとなく耳にした気もするけど、それがどのように業界に浸透して行ったかまでは知らなかった。

アニメのセル画って今はほとんどがコンピューターですが手塗りだった頃は何で着色していたのでしょうか?[YAHOO! 知恵袋]
 そうか、やはり知らぬ間にほとんどデジタル彩色に置き換わっていたか。こういう質問を見ると「昔は音楽はレコードっていう黒い大きな円盤で聴いていたんですよ」という台詞を聞いた時に似た衝撃を感じる。「ペロ」っていうのがたしか我々が中学の時に使った絵の具だ、懐かしい。

【動画】セル画消滅? テレビアニメでサザエさんが最後 [朝日新聞]
 『ちびまる子ちゃん』『ドラえもん』は約 10 年前にコンピューター制作に切り替わったとのこと。そんな中、『サザエさん』だけは今でも手塗りを続けていると知って感慨を抱いた。ここでも頑なにデジタル化を拒絶する磯野家であった。
 リンク先の動画で興味深かったのが、アニメ絵の具の製造メーカーの様子。こういう小さな町工場で作っていたのか。日本の産業の発展を支えて来たのは中小企業の町工場だとよく言われる。アニメも例外ではないことがわかった。

 アニメの手塗りが、伝統工芸のように未来に伝えて行くべき職人技なのかどうか、正直なところよくわからない。こればかりは苛酷で非人間的な単純作業という印象が強い。「手塗りの温かみ」なるものが本当に画面から伝わってくるものなのかどうか。でもたまに『ドラえもん』を見ると、のっぺりした鮮やかすぎる色が目にきついと感じたような気もする。こんど帰ったら地デジでサザエさんドラえもんを見比べてみようかね。