流出

 昨夜は YouTube の船衝突映像と、それに寄せられた千件以上のコメントの一部を見ていた。コメントの 95% 以上は「よくぞ投稿してくれた」という賞賛。残りは外交への悪影響を懸念する声。

 新聞サイトの報道を見ると、日本政府側は慌てふためいてひたすら投稿者探しに血眼、中国の政府と人民は強硬姿勢を崩さず、という調子のようだ。日本の民衆の声を取り上げた記事は見当たらない。流出を由々しき非常事態のように書く新聞が多いけれども、その割には YouTube の投稿映像タイトルを記事中にきちんと書いて読者のアクセスを手助けしていたのはなぜだろう? 中国の反応も本当にそんなに一面的だろうか。中国人民から多少とも中国政府批判の声が上がっているのは間違いないと思うが、それを日本の新聞は書けないのだろうか。日本と中国、政府と国民とマスコミ、それぞれの言動がひどく乖離しているようでもどかしい。

 中国が日本に、ビデオを公開しないよう要請していたと聞く。暴力を振るっておいて「人に言うな」と脅していたわけか。
 世の中には公にせずにおいたほうがよい真実もあるだろうが、これほどベーシックな認識に関わる映像なら、広く人々の目に触れたのは結果的に良かったと思う。まず何が起こったかを両国が共通認識として持ち、それから対話を始めなければならない。原爆に関する日米間の認識の違いでも同じこと。

 レアメタル資源をなるべく中国に依存せずにすむ道を探らなければ。材料の研究者にできることはその程度。どこまでやれるかわからないが。