15 歳に贈る終末 SF

 (上からの続き)そんな中で、中3の時に使った英語教科書の最後の単元だけは、妙に印象に残っている。それは未来 SF 短編だった。たしかその単元のみ真鍋博氏がイラストを添えていて、あたかも星新一ショートショート的な雰囲気を漂わせていたと思う。物語は地球と、一部地球人が別の星に築いたコロニーの間で進む。コロニーは初めのうちは繁栄して人々は幸福に暮らしていたが、やがて発達しすぎた文明が星全体を破滅へと向かわせる…(細部記憶あいまい)。コロニーの住人の少女が、電話友達である地球の少年に、自分の星の緊迫した状況を伝えてくる。ラストはこんな文章であった。

“Listen! (音声教材ではここで爆発音が入る) Can you hear that sound? Hold on, please. I will come back in a few minutes.”
But she never came back.

 「聴いて! (爆発音) あの音が聞こえる? このまま電話を切らないでね。すぐ戻って来るわ。」
 しかし彼女は、二度と戻って来なかった。

 3年間の英語教材シリーズを締めくくる、これから大人への一歩を踏み出す若者たちへの花向けの言葉にしては、えらく暗くて恐い結末だったな。まあ世界は決してバラ色なことばかりではないという重いメッセージをあえて伝えようとしたのかも。上の英文をご記憶の方は私と同年代ということになります。
 せっかくなのでこの部分だけでも、仏語訳を(かなり翻訳サイトの助けを借りて)やってみた。

“Écoutes! (爆発音) Tu peux entendre ce son? Rest en ligne, s'il te plaît. Je reviendrai dans quelques minutes.”
Mais elle n'est jamais revenue.

 間違いがあったらご指摘下さいませ。