最先端研究開発支援プログラム

 1日のプレゼンの時に審査員のフランス人教授から「日本は政権交代することになったけれど、研究者にとって今後の状況は良くなると思うか?」という質問が来て少し驚いた。それに対して浮かんだ自分の答えは「もう少し様子を見ないとわからない。実は旧政権は、限られた数の科学技術研究に対して重点的に巨額な競争的資金を分配する計画をちょうどスタートさせたところで、科学技術予算は増える兆候があった。ところが次期首相はバラク・オバマみたいにすべてを変えてしまおうとしている。なので、今後の新政権の政策には悲観的な研究者もいる」というもの(言葉にできたのは半分くらいだったけど)。

 もちろん頭にあったのは、総計 2700 億円を 30 課題に重点的に割り振るという、科学技術政策主催の最先端研究開発支援プログラムである。
 今日、早くもその選定結果が発表された。新聞報道では山中さんや田中さんなど一部の課題しかわからずもどかしかったけれど、→ の pdf ファイルで全採択課題を知る事が出来た。[選定結果(科学技術政策)]

 ざっと眺めた第一印象は、自分に近い領域を見る限り「やっぱり既に大物の研究者ばかりに与えられているな」ということ。まあ額が額だから、能力が未知数の研究者にあげるのは危険だという判断もわかるけど。
 あと研究機関で見ると、東大が 30 件中 11 件で断トツ、次に多いのは東北大、阪大、慶応大、京大で各2件だった。東大と他機関との格差はちょっと異常ではないか? ついでながら、ある報道記事 [時事通信社] が、他の大学名を出しつつ、あんなに突出している東大に触れていないのもやや奇異に感じた。それはともかく、今回の結果は要するに「強い人(機関)をもっと強くする」配分で、多くの人にとっては見てワクワクするような結果ではなかっただろう。

 民主党がやはりこの結果に対し「凍結も視野に入れる」と言っている。
 1日の時点では自分は「中止などはしないでほしい」と思っていたけれども、今は、そもそもこのプログラムは日本の科学技術界全体を元気づけるようなものではなかったな、と思うに至った。