プレゼン本番

 これまでの喋り原稿がスライドがあることを前提としたものだったので、急遽スライドなしバージョンの喋りに修正し、当日朝に変更箇所を覚える。会場は自室から歩いて行けるビルの一室。朝9時に本番開始。プレゼンは、完璧とは言えないが勢いで乗り切った。まあまあの出来。しかしその後の質疑応答では今ひとつ的確な答えができなかった。緊張すると、つい木を見て森を見ない発言をしてしまう。
 自分は嘘をつくのが下手だということも自覚せざるを得ない。再三の「この先ずっとフランスにいるつもりか」的な質問に対して「そうだ」と答えればいいのに、つい言葉を濁してしまう。そんな煮え切らない態度が審査員の印象を悪くしたかもしれない。終わった後、4ヶ月間の努力が水の泡になったかな、と思ってしばらくネガティブになった。今日ばかりは誰かに心の内を聞いてもらいたくて、職場で同僚(仏語原稿の添削をしてくれた)に愚痴をこぼし、慰められた。でもしばらくは、課題が終わったことの安堵感と満足にできなかったことの後悔とで放心状態に。
 やがて夕方、非公式ではあるけど内々に結果を知らされた。嬉しい結果だった。この先も当面フランスにいることになった。詳細は正式通知が来た時に書きます。

 プロジェクターなしのプレゼンは初めてだった。スライド作成に結構時間をかけ、仏語訳に所長の手を煩わせまでしたのに、それらの苦労はすべて無駄だった。実施要項にあらかじめプロジェクターなしと書いておいてくれよ、と思った。しかし後で聞いたら、プロジェクターを使う場合は必ず実施要項にその旨明記される、なので記述がない場合はプロジェクターを使わないという意味なのだという話。そうか、この国では身体一つでパフォーマンスするのがデフォルトなのか…。