減量スケーリング

 「10 日で 5 キロやせる」などというダイエット商売の謳い文句をよく見かける(ググったら 2000 件近くヒットした)。実際には万人がそのとおりに減量できるわけではない。120 kg の人が 5 kg 痩せるのと、50 kg の人が 5 kg 痩せるのでは大違いだ。同じ理由で「10 日で 5 キロなら、40 日で 20 キロ痩せるんだな」と受け取ってはいけない。10 日で 5 キロやせるのは、できたとしても最初だけだ。
 減量中の体重は linear に(図左)ではなく exponential に(図右)減って行くのが自然だ。より正確に言うと
  y = y0 + A exp (- x / t)  
  ここで y : 体重
      y0 : 標準体重
      A : 定数(y0 + A が減量開始時の体重)
      x : 日数
      t : 時定数
のように推移して行くと思う。標準体重を上回っている部分(y - y0)を贅肉と定義すると、贅肉の部分が exponential に減るということね。ダイエット開始時は比較的速く減るが、同じメニューを続けていても次第に減り方がゆっくりになり、最終的に y0 に到達する(y0 を通り過ぎてさらに減って行ったとしたら、それは身体に悪いダイエット方法であろう)。

 さて、1年で 117 kg から 67 kg に減量した岡田斗司夫氏の体重の推移はどうだったのだろうと思って、『いつまでもデブと思うなよ』を書店で立ち読みしてみた。お目当ての体重や体脂肪率の推移のグラフは後ろのほうに載っていた。体重を見ると案の定、初期の頃は傾きが急で、次第になだらかになり、ある体重に漸近している。まさに上の式のとおりの振舞いを示していたので嬉しかった。大雑把なフィッティングをすると、彼の贅肉は大体2週間に1割のペースで減っていたようだ(その間ずっと同じメニューを続けていたかどうかは知らないけど)。
 この評価方法なら、デブの人も普通体型の人も一様に比較できる。贅肉(= 体重 − 標準体重)を2週間に1割落とせれば、だいたい岡田氏並みと言える。(標準体重は、たとえばこちらで。)