リレー

 自動測定装置の使用終了。別の実験の準備開始。初めての、しかも神経を集中させる作業で、緊張する。夕食後はついに電池が切れて爆睡。

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■『忍法十番勝負』横山光輝・他9名共著(1966 秋田書店

 子供の頃から気になっていた一冊、ようやく読了。大阪城の抜け穴の場所を記した巻物をめぐって、徳川方と豊臣方の忍者同士が血なまぐさい争いを繰り広げる物語を、石ノ森章太郎藤子不二雄A横山光輝松本零士ら、当時雑誌で人気を博していた十人の漫画家がリレー形式で描いている。物語の大きな流れのみがあらかじめ決まっていて、各漫画家がその最低限の制約の中で自由に筆をふるったと思われる。こういう企画は漫画では他にあまり例を見ない。個人的には、異なる漫画家が同じ人物を登場させている場合、キャラ造形の擦り合わせくらい行なってほしかったが、それも含めて漫画家ごとに異なる作風を楽しむのも一興。たとえば、当時のページのコマ割りは縦を4段に等分するのが基本だったのに、松本零士だけは任意に幅と段数を変化させた自由なコマ割りをいち早く取り入れていることにも気付く。

 考えてみればこの頃は忍者ものが流行だった時代。たぶんその火付け役であった大御所・白土三平も、七番目に登場して風格を放っている。彼は忍術を可能な限り科学的に説明することでリアルなドラマにしようとした人。しかし他の執筆者たちの中には、忍術を魔法と同じファンタジーのように扱っている人もいたりして、忍者ものの中にもいろいろな考え方があったのが感じられて面白い。
 歴史に疎い私は忍者ものの最低限の歴史的背景(徳川についているのが伊賀忍者、豊臣方が甲賀忍者)をようやく本書で把握した。猿飛佐助も真田幸村に仕える甲賀の忍だった。それを知ると昔愛読した『サスケ』も一層奥行きの深い物語に感じられてくる。思わず YouTube『サスケのわらべうた』を探して聴き入ってしまった。