東北

 プロジェクトの打ち合わせ。終了後、他の先生に実験技術や動向について教示を仰ぐ。1人でやっていると「こんなんでいいのか?」と不安になるが、人から意見をもらえると安心できる。夕方から測定Bを本格的に。月曜朝まで。

■『赤い雪』勝又進(2005 青林工藝舎
 ジュンク堂で見かけた。勝又進の漫画は読んだことがなかったが、林静一を思わせるしっとりした娘さんの表紙絵と、帯の「第35回日本漫画家協会賞大賞受賞」という惹句に引かれて買った。中身は 1980 年前後に描かれた短編集。一貫して、少し前の時代の東北の田舎が舞台で、前近代的な風習や迷信が人々の間に生きている土俗的な世界の話。男と女、子供と大人、人間と河童が表裏なく向き合って、ストレートに思いをぶつけあったり、丸い口を開けてあはははと笑ったりしている。つげ義春よりもあっけらかんとしていて、村野守美よりも登場人物がどっしり地に足を下ろしている。ガロ系の作家にしてはポジティブエナジーが感じられる。
 70〜80年代青年漫画の定番である不器用な若い恋人たちもしばしば出てくるのだけど、それをことさら強調するのでなく、仕事もして生活もしていろいろなことを考えている中で相手のことも想うという、さりげない描き方が好もしい。登場人物たちの、たくましく人とつきあう姿が、爽やかな後味をもたらしているのだろう。引きこもりがちな人に読んでほしい、などと思ったり。