人の夜
研究室のビデオデッキに DV カセットが挿入できなくなったので、近所の Mr. コンセントに持って行ったところ、DV 関連はいろいろ難しいらしくてどうしてもメーカー返送で3万円はかかると言われてがっかり。だが試しにその場でカセットを入れてみたら、問題なく動いた。デッキではなくテープの問題だったようだ。なので一旦持ち帰る。この店は昔よくいた、電気に詳しくてテレビなどを直してくれる近所のお兄さんのようなものだと思っていたけれど、今や店内で修理することは少なく、単なるメーカーの窓口に過ぎない場合が多い。昔に比べて製品の電子回路が複雑になってしまったからな。(もちろん今回のように、故障と思ったのが実は軽微なトラブルだと指摘してもらえるのはメリットだ)
出勤。伝票処理など。秋の某国内学会で1本講演することに決め、共同研究者の承諾を得て申し込んだ。この学会での講演は初。
『死の壁』(養老孟司)読了。
■『ヨコハマ買い出し紀行 (14)』芦奈野ひとし(講談社)
最終巻。最終回に至る数回を雑誌では見逃していて、単行本でようやく全部の話を押さえた。といっても例によってさしたる起伏があるわけではないのだが。ただ、やはり地球の人類文化が徐々に滅びつつあるらしいことが示される。年を追うごとに、国単位で都市が消えていき、画面に登場する人間の数は少なくなっていく。そんな状況で、互いを思いやり、楽しみを見つけながらゆったりと過ごしている登場人物たち。最初のほうから出ていた小さい女の子がだんだん大人になって、最終巻ではお母さんになるという描写に心温まった。外見は大人になっても内面は変わっていなかったからかも。「○年後」といった具体的な時間経過の表示は一切無いので、逆に読む側の想像をかきたてる。最終話は 50 年くらい経ってるのかなあ、とか。
ちょうど『死の壁』を読んでいたので、両作品に通じるものがあると思った。自分が死ぬ事や、人類が滅亡することをオロオロ恐れていても仕方がない。運命を受け入れて、その時が来るまでをいかにして生きるかが大事なんだ、ということなのだろう。
ラストのナレーションの台詞に同感する。
「人の夜が やすらかな時代でありますように」