アインシュタイン in 日本

特別展『アインシュタイン日本見聞録』(~06.2.26、東京国際フォーラム)
 相対性理論で名声を博していたアインシュタイン博士は1922年に来日し、約2ヶ月間に渡って講演したり観光したりして日本各地を回った。博士に対する当時の日本人の熱狂ぶりはものすごく、行く先々で群集に迎えられ、研究者から一般人まで大勢の人が講演を聞きに押し掛けた(もっとも理解できた人は少なかった)。その時の博士の日記や写真や肉声、新聞記事などの記録を一堂に展示した催し。じつはよく似た内容が『アインシュタイン 日本で相対論を語る』(講談社)という本に網羅されているのだが、本にない内容もある程度見られるかもしれないと思い足を運んだ。
 結論として、初めて知った事柄も少しはあったけれどもさして目新しい資料もなく、展示としても不満な点が多かった。会場の構造のためか照明が当たらないパネルがあったり、引き延ばされた当時の写真に壁の柱がかぶっていたり。さらに博士の日記の英文・和文対訳がパネルに記されているのだが、明らかに和文が英文に対応していない箇所があった。受付の人にその誤りを指摘したら先方も既に認識していて、パネルの印刷はドイツで行っているので現在修正版を依頼中とのこと。まあいいけど、800円の入場料の割には気合いが入っていないと思った。特別協賛に自分の母校の名が入っているのが今ではやや恥ずかしい。
 しかし当時、自然科学とは縁のない大衆の間でも「相対性理論」という言葉が大ブームになった事実は面白く、どういう時代背景がそうさせたのかという興味は尽きない。とフォロー。