San Jose (3) − ハロウィン

【本日の行程】(午前)学会 (午後)ホテル周辺歩く → 学会

 ハロウィンの日に米国に居ることはめったにないので、子供らが仮装で家々を回るお決まりの行事でも見物に行きたかったけれども、午後から夜にかけては学会の特別講演があったのでそちらを優先。

 今年はこの学会が50回目の節目の年ということで、その分野では著名な(らしい)5名の科学者が歴史を振り返る講演を行い、その後に立食パーティという企画だった。最初の4名の講演者はいずれもエンターテナーで、時折ジョークを交えて観客を笑わせていたが、最後の年配の先生は研究一筋という感じの真面目な人で、訥々と講演を進め、予定時間を過ぎても相変わらずマイペースでしゃべり続ける。観客は早くビールを飲みたくてしかたがない。かなり時間をオーバーしているのにあまつさえ先生が次の話題に移ろうとしたので、ついに観客席から盛大な拍手が自然発生的にわきおこって、先生の講演は強制終了させられてしまった。そして聴衆はパーティ会場に向かってさっさと退出を始め、壇上には何が起きたのかわからないといった感じで呆然とする講演者と彼を慰める座長が残された。
 自分は「やれやれ、ようやく解放された」という安堵と「彼はどうしてあんなに不器用なのだろう」という素朴な疑問と「あんな仕打ちを受けてかわいそうだな」という憐れみと「偉大な科学者にはあんなタイプが多いものだ」というフォローに似た考えが混じった複雑な心境になった。そう、科学者の価値はプレゼン能力だけで決まるものではないよ! でも限度があるね!