ザ・ベストテン/晩夏

金スマ
 翌朝も仕事だというのに、昨夜1時頃から『金スマスペシャルの録画を見始めて、結局最後まで観てしまった。だってザ・ベストテンの回顧特番なのだから見ずにいられようか。今年の1月に読んだザベテンのムック本の内容に近かったが、実際に当時の番組音声と映像をふんだんに見せてくれたのはTV番組ならでは。ムック本と今日の番組を合わせて観ると3倍楽しめるよ。
 とくに私がザベテンを見始める前の映像やエピソードが興味深かった。松山千春のTV初出演の映像も今回初めて見た。当時非常に話題になり、翌日の新聞記事にもなったのを覚えている。その伝説の映像は、セットも使わず、伴奏もギター1本のみと、きわめてシンプルなものだった。それを生で食い入るように見ていたであろう多くの視聴者の気持ちに思いを馳せる。
 あと「黒人のくせに云々」という暴言を吐いた少年をたしなめた黒柳さんと、すかさず「黒柳さんが涙を浮かべて怒るのはあたりまえの話です」と続けた久米さんのコンビネーションが印象的。いまのTVの中にこういう大人が何人いるかな。

 裏方のスタッフにもいろいろ驚くべき苦労話があったのだが、とても書き切れない。結局、なぜこれほどこの番組の歴史に惹き付けられるかというと、それまでになかった画期的な番組を、局の上層部の反対を押し切ってスタートさせ、みごと成功を収めたから。そして番組を続けて行く間にも、画期的な番組ゆえにスタッフの様々な挑戦があったからなのだった。『8時だョ!全員集合』やNHK大河ドラマの番組史が面白いのもまさに同じ理由である。それに対して、他局で成功した番組をマネしただけの番組には、たとえ当時見ていても、その歴史への興味は全く湧いて来ない。

・『晩夏(ひとりの季節)』平原綾香
 書店で流れているのを耳にして「おっ」と思った。子供の頃に聴いた覚えのあるメロディ。銀河テレビ小説『幻のぶどう園』(1976.8) のためにユーミンが書いた曲だと後でわかった。ドラマは尾藤イサオが主演で、たしかに何回か見たが、そうか、これのテーマ曲だったか。自分にとっては幻の名曲だったが、30年近く経って平原綾香がカバーしたおかげでようやく完全な形で聴くことができた。寂寥感のある儚げなバラード。