箱根 (2)

 ワークショップ2日目。今日も雨で、ホテルに監禁状態であった。
 WS には同世代・同分野の優秀な研究者諸氏が多数参加している。今日の夜のバンケットで彼らと語る機会があり、研究情報の交換などして交流する。今まで彼らの多くとは、当方は存じ上げていたが親しく語るような間柄とは言えなかった。恐る恐る会話の輪の中に入ってみたら、意外に向こうも私を旧知の人物のように接してくれ、集団に自然に溶け込んでいる自分がいた。不思議な感じだが心地よかった。
 調子に乗って、ゲストで来ていたノーベル賞受賞者のBednorz氏に、厚かましくもいきなり握手を求めに行った。当然彼は「何だコイツ?」という目で私を見る。しまったと思ったが引き下がるのも恥なので、しかたなく自分の研究内容について話し始め、かくして当初は握手だけのつもりがしばしディスカッションする羽目に。貴重な経験だったが、そこに至る私の失礼な振舞いはできれば無かったことにしたい。