日本この百年 −工芸−

「世紀の祭典 万国博覧会の美術」展東京国立博物館
 19世紀後半、欧米での万博に日本の陶磁器や漆工品などが出品されたのをきっかけに、あちらで日本製品がものすごいブームになった。そこで日本政府も各種職人を養成するなどして産業育成に乗り出し、派手な作品をどんどん作って欧米に送り込んだ。この頃の日本の工芸は‘芸術’とはまた別の‘世界相手の商売’という側面で大きく伸びたといえるのだな。ところで会場に万博関連年表が掲示してあったが、そこに関連事項として次の一文が記してあるのを発見して思わず「おお!」と唸った。

   1891(明24)  窯工会(大日本窯業協会)、日本漆工会発足

 この‘大日本窯業協会’こそは、現在私がシンポジウム準備を手伝わされているところの学術団体‘日本セラミックス協会’の前身なのである。百年以上の歴史があることは聞いていたが、このような年表に登場するとは意外だった。当時の日本では花形産業だったセラミックス。日本の近代化を支えてきたセラミックス。今やっている雑用はじつはそういう偉大な歴史につながる、意義のある仕事だったんだと認識。それを知ってから私はますます準備委員会の中でああだこうだ発言するようになった。