日本この百年 −映画−

・『桃太郎の海鷲』瀬尾光世監督(1943年)
 『桃太郎 海の神兵』瀬尾光世監督(1945年)
 フィルムセンターのシリーズ上映「日本アニメーション映画史」の一環。上映プログラムは日替わりで29日まで続く。この企画を知った時ばかりは東京に住んでいないことを心から悔やんだ。とにかくこの2作品はずっと観たかったので駆け付ける。昭和18〜20年にこれだけ動きのあるアニメ作品があったのか。男手が戦争に駆り出されていた人手不足の時代、『海鷲』はなんと瀬尾氏が一人で15万枚の動画を描いたという(たしか『もののけ姫』もそれくらいの枚数ではなかったか?)。戦時中の極限状態ゆえに生まれた奇跡としか言えない。まあ敵の軍人たちのあまりに腰抜けな描写には嫌悪感を覚えるが、当時の政府がそう描けと言ったのだろうからしかたない。

「岡本忠成アニメーションの世界」展東京国立近代美術館フィルムセンター
 みんなのうたで放送された『メトロポリタン美術館』等のアニメーションでおなじみの、戦後日本における代表的アニメ作家。アニメ制作に使用された絵や人形などの素材が展示され、ちょびっとずつだけど作品もビデオで見られる。セルの表から色を塗ったり、人形の素材に皮革を使ったり、本当に2つとして同じ技法の作品がないことに驚かされる。アニメ界の武井武雄。『チコタン』『花ともぐら』『注文の多い料理店』などはいつかフィルムによる上映で観たい。

東京国立近代美術館フィルムセンター常設展
 明治時代の日本の映像から、昭和30年頃までの日本映画に関わるさまざまな物品の展示とビデオ上映。何時間いても飽きない。