冷房

 暑いのだ。
 しかし自宅には扇風機しかない。エアコンを使うことは、そのために室外がますます暑くなって地球温暖化を促進しようとも自分の部屋の中さえ涼しければよいという自己中心的な行為である。よってせめてもの抵抗として自宅には意地でもエアコンを設置せずにいる。しかし職場では冷房がないと仕事にならないし、家でもあまりの暑さに耐え切れず冷房の効いたファミレスに逃げることもしばしばなので、あまり説得力はない。

 そんなふうに逃げ込んだファミレスで最近の新聞を見ていたら、冷風扇の広告が目についた。そうだ、以前から「エアコンはいろいろ問題があるけど、冷風扇は自然な冷房という感じでいいよな」と思っていたのだった。しかし購入するほどの思い切りの良さは持っていなかった。
 それなら簡易冷風扇を作ろうと思い付き、早速帰って扇風機の前に濡れタオルを張ってみる。が、タオルの目が細かすぎて風が通らない。少し目が粗いナイロンタオルで試してみたが、やはりダメ。実際の冷風扇に使われるフィルターは、水を運べる程度に目がこまかいけれども風は通す程度に目が粗いという矛盾した特性を兼ね備えているようだ。細かい部分と粗い部分が混在しているのだろうか。ともかく当面は濡れタオルでこまめに顔を拭くなどして涼を得るしかないのだな。暑い。