おから裁判

 引き続き、雪が降っている。昨夜は実験のため職場に泊まって現在に至る。よって自宅の周辺がどんな状態になっているのか知らない。今日のニュースによると金沢では昨夜一晩で49cm積もったとか。先ほど届いた近所の酒屋さんのメルマガには「そんなものじゃない、70cmは行ったのではないか」とか。帰るのが恐ろしい。しかし這ってでも帰ってオンバトを見なければ。

 一昨日のトリビアで印象に残ったネタ。
 豆腐の製造時に排出される‘おから’を引き取って豚用の飼料に加工していた業者が、「産業廃棄物を許可なく処理している」として起訴された。被告となった業者は「おからは栄養価の高い食べ物だ。産業廃棄物だなんて!」と抗弁を続けたが、結局平成11年に「食用を除き、おからの大部分は価値のないものとして捨てられている。よって産業廃棄物にあたる」と最高裁の判決が下り、被告は有罪に。
 番組を見た時は、この判決に強い違和感を抱いた。ゴミとして捨てられていたものを有効利用するのは、地球環境の観点からきわめて望ましいことではないか。賞賛されこそすれ、なぜ罰せられなければならないのか。そもそも食用のおからは産廃ではなく、それ以外のおからは産廃であるという区別はどこから生まれるのか。
 しかしその後調べたら、問題は別のところにあることがわかった。この飼料業者は処理代と称して豆腐屋から金を‘もらって’おからを引き取っていたのだ。金を取っている時点でおからを廃棄物と見なしていることは言い逃れようがない。そう思うと、それまで私の中で「資源を有効利用するあっぱれな業者」だったのが急に「豆腐屋と養豚業者から金を二重取りする悪徳業者」にイメージが変わってしまった。言い過ぎか。
 金をもらえば廃棄物、金を払えば食材なのだ。せめて無料で引き取っていればよかったのにね。このようにちょっとした舌先三寸でモノの価値が逆転する経済現象はなかなか複雑だなあと思う。と同時に、おからの年間排出量は71万tで、うち食用となっているのはわずか3.5万tという現状はもったいない、何かに使えないかと思う。