ジャンプ愛読者賞

 逃避行動としてネットを徘徊していたら、古今の週刊少年ジャンプのデータを詳しく紹介したサイトを見つけ、お〜〜と感嘆。とくに昔のものについては各号の表紙画像と掲載作品名が網羅され、それぞれの時期の雰囲気や裏話のコメントが付けられている。子供の頃に歯医者の待ち合い室や地域の児童館で読んだ思い出が甦ってくる。

 そうそう、昔はジャンプ愛読者賞というのがあって、結構楽しみにしていた。毎年1回、読者投票で10人の漫画家が選出されて、それぞれが45ページくらいの読み切りを描いて1位を競う企画。読者が選ぶメンツはどうしてもほとんどジャンプ連載作家になってしまうのだが、ヤマトや999が大ブームだった頃は松本零士が登場したし、ラブコメブームの頃はあだち充が2年連続で10人の中に選ばれた(ただし2回とも辞退)。そんなふうに普段ジャンプと縁のない作家が登場するかもしれないという期待感があった。そしてギャグ漫画を連載している人が愛読者賞ではシリアスものを描いたりして、作家のチャレンジ精神と意気込みが感じられる場でもあった。参加作品をまとめた別冊は何回か買ったものだ。
 73年から始まったこの企画は、しかし83年限りで終了する。連載を抱える作家がそれに加えて読み切りを描く(読み切りが載る号もその人の連載作品は休まない)というスケジュールはさすがに過酷だったのだろう。その後97年に「愛読者杯」と称して復活したが1年限りだったようだ。また少年マガジンでもそっくりの企画をやっていたのを覚えている。たぶん84年頃のこと。これも長続きはしていないはず。

 クリエイターが時々新境地に挑戦して互いに技を競い合うのは良いことだと思うが、今この企画が流行らない理由は何だろう。昔は漫画家がスターだったのに対し、今は読者の関心はキャラに向けられて作者の影が薄くなったということかな。