東京ウォーカー

 連休中は人でいっぱいの秋葉原とか池袋とかを歩いた。
 近年、東京の町を歩くといつも思うことだが、人とぶつかりそうになる時、よけるのはたいてい自分で、相手はよけようともしないことが多い。
 15〜20年前はこうじゃなかったと思う。町を行く人々はみんな、早足で歩きながらも他人との衝突を回避できるよう周囲に目を配っていたと思う。今はこちらが危うく身をかわしても、相手はまるでこちらの姿など目に入らないかのように歩き続ける。どうなっておるのか。

 そこで試しに、こちらからは絶対によけずに我が道を歩いてみた。
 すると、さすがに10cmくらいまで近付くと相手のほうがよける。そうか、「他者と何cmまで近付いた時に衝突回避行動を起こすか」という臨界距離が、私と他の人々とでは違うんだな。私は50cmくらいで身を翻したくなるけど、他の人々は10cmくらいまで近付いてから身を翻せばいいと感じている(イメージ)。一つには都会生活者の彼らのほうが機敏なのかもしれないし、または仮にぶつかったとしても互いに気にしない風潮が出来ているのかもしれない。「仲間以外は皆風景」(by宮台真治)なのだ。その証拠に、昔はマンガとかドラマでよく見かけた、こわいお兄さんと肩がぶつかってインネンつけられるシーン、最近は全然見かけませんね。

 金沢駅に降り立った。ああ、この人口密度の低さ、すばらしい。東京の人口密度も金沢並みに低くなればいいのに。