楽園

 掃除の一環として、部屋にある余分なものを排出するため図書館へ行き、借りていた8冊ほどの本を返却する。そこで、かねてより欲しいのに絶版となっていた『科学者たちの自由な楽園』(1983年、宮田親平著)が最近改題されて文庫で再発行されていたことを知る(『「科学者の楽園」をつくった男』、日経ビジネス人文庫)。おお、全然知らなかった。書店へ駆けつけて探すも2001年発行の文庫版は既に書棚に見当たらず。帰ってネットで注文、まだ在庫ありとのことで一安心。このまま知らずにあと何年か経っていたら、文庫版も入手できなくなっていたのではないか。油断も隙もないな。

 戦前の理化学研究所の栄光と数奇な運命を描いた力作ドキュメンタリー。貴族院議員にして東大教授であった大河内正敏所長を始め、高峰譲吉(アドレナリンの抽出)、寺田寅彦漱石の弟子で物理学者で画家で随筆家)、鈴木梅太郎(ビタミンB1の発見)、仁科芳雄原子核物理)といった、理系人間にとっての大スターともいうべき学者たち、果ては渋沢栄一田中角栄まで、登場人物のバラエティには事欠かない。
 いつの日かNHKがこの話をスペシャルドラマにしてくれないだろうか、と私は夢見ている。

 『風と雲と虹と』総集編を見る。若き日の草刈“菅原教授”正雄くんがニヒルで良い。ルパンで言えば五右衛門のような役どころ?(いずれ長めの感想を書きます)