野球少年
■『球道くん(11) (12)』水島新司(1998 小学館)
天気の良い休日なので自転車こいで松任市立図書館へ。ここはビデオのみならずコミックも借りられるすばらしい図書館なのだ。書棚を見ていてたまたま目に止まったのがこれ。
少年時代「マンガくん」を毎号買っていたので途中までは読んだ(なんか最近は昔馴染んだ作品を借りてくることが多いな)。だが誌名が「少年ビッグコミック」になった前後に買うのをやめたので、続きを目にすることなく20数年が過ぎ、球道が自分の出生の秘密を知ってしまうのかどうかとかいろいろ気になっていた。もうこのさい途中はすっとばして結末だけでも読んでしまおうと。
ええ、満足しました。
ところで週刊少年サンデーで連載している『MAJOR』(満田拓也)という作品も以前よく読んでいたのだが、最近になってこれは平成版『球道くん』だな、と思い当たった。
・主人公の野球少年の成長を、幼児→小学生→高校生という段階で描く
・実母はいない
・実父はプロ野球選手だが、幼児のときに死別する
・主人公を可愛がっていた若い女性が、親をなくした主人公を引き取る
・別のプロ野球選手が、その女性と結婚して主人公の養父となる
・高校編では弱小チームを主人公が引っ張って強豪を制する
・超高校生級の実力と、奔放で豪快な性格の持ち主
・かつての仲間がライバル校にいて、それらとの対戦がじっくり描かれる
これだけ共通点があるのに今までそれを感じさせなかったのは(単にオレがうかつだったというのはさておいて)、『MAJOR』独自の物語をしっかり築き上げているからだ。つまり、決してパクリではない。
言ってみれば、同じ忠臣蔵の物語でも1964年の『赤穂浪士』と1999年の『元禄繚乱』では描き方が全く違うようなものだね。
しかしこの類似は、満田氏が球道くんファンなのか、もしくは編集者が球道くんをもう一度やろうとしているのか。