TV50年 夢幻のごとくなり

 1964年の東京オリンピックの開会式のカラーVTR映像を、よく回顧番組とかで見かけますね。日の丸やユニホームの極彩色が美しく記録されていて、初めて見る人はこれが昭和30年代のTV映像だなんてにわかに信じられないであろう。
 最近の新聞に載った当時の裏話が印象的。
 それによると、NHKが新しいカラーカメラを開会式の3、4ヶ月前に開発したものの、赤い色が黒く映るなど性能が劣悪で、本番数日前にもまだ色彩に関しては絶望的な状況だった。直前になってカメラにフィルターを入れることを思いついたのと、当日がたまたま絶好の晴天だったことで、奇跡的にあのような鮮やかな色が映し出せたということだ。もし曇っていたらお手上げだったと。
 「なにもかもが綱渡りだった」「まるで神風に救われたようだった」とは当時のスタッフの弁。

 うーむ、カラー中継って当時はそんなに不確かな技術だったのか。そのまま「プロジェクトX」のシナリオになりそうな話だな。さすがに自分とこの話はプロXに取り上げないだろうけど>NHK。
 本当はできるだけ確実なものを作ってからデビューさせるのが理想なのだが、100%確実というものはこの世になくて、とくに新しい技術などは予想しないトラブルにしょっちゅう見舞われるのが当然で、そうなったときにどう対処するかで苦闘するのが現実。
 どんなに未来になっても、人類は問題解決能力(せめて、問題を解決しようとする意気込み)を持ち続けなければならないのだ。