安漫画

 しばらく前、復刊ドットコムというサイトで『T.Pぼん』(藤子・F・不二雄)の復刊リクエストを募っているのを見つけて、自分も好きな作品だったので復刊を希望する一票を投じておいた。やがてその甲斐あってめでたく出版社と交渉が成立して、今年の8月から毎月1冊ずつ発行されている。
 といってもコンビニなんかで並んでいる、廉価版コミックっていうの? あのシリーズね。きっと普通のコミックスに比べるとすぐ市場から消えてしまうのだろう。
 でも一時的にせよ、古い作品が息を吹き返して、新しい読者の目に止まることは嬉しい。

 驚いたことに、最近は百円均一ショップでも本を売っている。百均専用に作られたれっきとした新刊本。もちろん百円!
 昨日、ダイソーに行ったついでに、コミックコーナーを物色してみた。造本や印刷は、まあコンビニの廉価版コミックくらいのレベルではある。既に絶版になっている作品を再出版しているので、すごくメジャーな作品はなくて、どちらかというと忘れられた、それでいて広く受け入れられやすい癖のない作品がラインナップされるようだ。30〜40代の人には懐かしい作品がちらほら。
 書店には流通しない特殊な本だけど、こういう場合も印税は作者に行くのかな。

 BOOK-OFFなどの新古書店があまり幅をきかせると新刊コミックが売れなくなるというので、出版社や漫画家たちが抗議運動しているね。
 私が読みたいマンガはそれほど売れていないものが多いので、マンガ喫茶やBOOK-OFFにはあまり置かれていない。だから新刊を買うしかない。ということは新古書店やマン喫のせいで不利益を被るのはどちらかといえば売れている作家ということになるから、メジャー作家とマイナー作家の収入の格差が少しは小さくなるのかもしれない。その点は悪いことではない気がする。

 でも皆が安いものを買うことはデフレを助長して、ますます日本の経済が元気を失っていくことになるのだろうか。でも100円で掘り出し物が手に入って満足が得られるのなら買うよなあ、と百均で買った『オサムとタエ』(村野守美)、『空のはるか虹のかなた』(夏目けいじ)を読みつつ思った。やっぱ村野守美はいいなぁ。