阪神とビスコ(両者の間に関連はなし)

(1) 『ミスター・ルーキー』という映画の予告編は面白そうだった。覆面をかぶってマウンドに上がる謎の投手の活躍で、阪神タイガースが優勝に向かって快進撃を遂げる話。企画がうまいなあ。こんな映画を作ったら阪神ファンは全員見に行くしかあるまい。映像にも引きこまれた。「昼は平凡なサラリーマン、夜は正体不明のスーパーヒーロー」という昔ながらのマンガのような設定が、リアルな試合シーンで生き生きしたものになっている(と思う。本編見てないけど)。
 そうこうしているうちに、現実に阪神が巨人相手に開幕2連勝したらしい。ペナントレースの勝敗ってのはチームの投手力打撃力守備力よりも、「気運」「雰囲気」「流れ」「ノリ」のほうに強く左右される傾向がある。もし本当にこのまま阪神が優勝したら、その30%くらいはこの映画の功績なのではなかろうか。さて。

(2) コンビニで食糧を物色していたら「ビスコパン」「グリコパン」というパンが目に入った。4月29日までの限定販売だって。袋はおなじみの箱の絵を踏襲したデザイン。心をくすぐられ、つい2つとも買ってしまった。中身は、普通のパンにビスコのクリームのような味のクリームが、もしくは黒糖パンにグリコキャラメルのような味のクリームがはさまっているものである。袋から出してしまえばあまり感動はしない(笑)。慣れ親しんだある銘柄が別のジャンルの製品に姿を変えて登場すると、結構物欲をそそるもんなんだね。「レゴ手帳」「ボスジャンパー」などもそうだった。
 突然話が飛ぶが、酸化物高温超伝導体で、Bi-Sr-Ca-Cu-Oという化合物がある。正式に読むと「ビスマスストロンチウム・カルシウム・カッパー・オキサイド」などという長ったらしい名称なので、たいてい省略して呼ばれる。日本の研究者は「ビスマス系」と呼ぶ人が多いけど、欧米ではBiSCCOと書いて「ビスコ」と呼ぶのが普通。「ビスコの層状構造が…」などという講演を学会で聞くと、いまだにビスケットと乳酸菌入りクリームの3層構造を思い浮かべてしまう自分は、研究者としてどうなんだろう。