老マエストロ

 日本ゴールドディスク大賞授賞式をTVで見た。私はCDをあまり買わないので、この番組のライブを見て一年分の音楽を(以下略)。これに出るために来日したマエストロ小澤征爾が、ステージ上で浜崎あゆみと並んで語り合っている様はなかなかレアな映像でしたね。
 オープニングはポルノグラフィティの『アゲハ蝶』。じつはこの歌は練習したことがあるが、難しいのでついぞ人前で歌ったことはない。今回も「難しい歌だな」と改めて思いつつ聴いていたら、本人も間違えてたよ(笑)。やっぱり難しい歌なのだ! 1コーラス終わったところでVo.のアキヒトが「どうもありがとうございましたあ!」とでも言うような調子で「歌詞を間違えましたあ!」と高らかに宣言していたのがいっそ清々しい。20数年前、生番組で歌詞を忘れて40秒間立ち往生した某人気歌手を思い出し、世代が変わったなあと感慨にふける30代男であった。

 たまにはCDでも買うか、と『ハリーポッターと賢者の石』のサントラを買った。部屋の掃除をする時につい手が止まってしまうので、何かBGMが流れていれば時間の経つのを忘れることもなくなると思って。とはいえこの音楽が流れていると、棒をサッと振るだけで一瞬にして部屋が片付くような気もしてくるのだが、さすがに試しはしない。
 ジョン・ウィリアムスの音楽は絢爛たる音色に満ちていて鮮やかだ。『ジョーズ』『スターウォーズ』『スーパーマン』『E.T.』『ジュラシックパーク』『シンドラーのリスト』等々そうそうたる大作を手がけている、言わずと知れた映画音楽のトップランナー。なんと、今年で70歳だそうだ。いかりや長介と同じ(だから何?)。ここにも、若手の追随を許さない老練の仕事を見せてくれるマエストロ(職人)がいる。