Googleで知る生きた日本語

 今週はまた大雪の当地であります。石川県に住んで8回目の冬を迎え、だいたい一冬に何日くらい雪掻きをするかわかってきた。雪の日は多いけど、一度にドカッと降らずに小分けにして降ってさえくれれば、積もる前に駐車場から出し入れするので何とか掻かずに済むのだね。もちろん除雪車には大変お世話になっているけど。そんな雪の季節の終りが見えてくるまで、あと1ヶ月ちょいの辛抱。

 職場では学生が博士論文と修士論文の執筆に追われる季節であります。ちなみに自分はずっと博士論文は「D論」、修士論文は「修論」という略称で呼んでいるが、考えてみればこれは奇妙なことだ。「D論」とくれば「M論」だし、「修論」に対しては「博論」と言わなければ系統的でない。おそらく「ハクロン」より「ディーロン」のほうが、「エムロン」より「シューロン」のほうが発音しやすいためにこんなちぐはぐな呼称が定着してしまったのだろう。
 もっともGoogle検索してみたら、世の中に博論やM論という言葉はちゃんと存在し、「博論・修論」「D論・M論」と系統的な用語を使っているところも多い。だが「D論修論」という流儀の研究室も少なくなく、自分だけがヘンなのではないことがわかった。ちなみに卒業論文は「卒論」であって「B論」と言ったことはない。D論とまぎらわしいからかな。

 ところで『ほんまもん』で、愛川欽也が自分の負った怪我を説明するときに「十針(とはり)も縫ったんだよ!」という台詞を言っていた。十針を「とはり」と読むことを初めて知った。たしかに、ひとはり、ふたはりと数えると10は「とはり」になるね。でもそのルールでいくと五針、六針は「いつはり」「むはり」になるはずだが普通は「ごはり」「ろくはり」と言ったほうが通りが良いのではないだろうか。正しい読み方はどうなんだろうと思ってGoogle検索したところ、「外科の専門用語ではイッシン、ニシンと数える」という記述に出会ってそれ以上は追求しないことにした。