ドリフターズってすごいねぇ

 ちょっと話題にするのが遅くなってしまったが、このあいだの紅白は、SMAPがいなくてもやっていけるとわかった点で意義があったと思う。稲垣吾郎が年明け早々復帰することになったのはこのことにショックを受けたからだったりして。

 紅白の番組構成そのものは相変わらずである。とくに曲の合間の持たせ方にはほとんど進歩がない。白組のお笑い系出演者が紅組にやってきて和田アキ子の悪口を言うと後ろに本人が立っているとか、白組の中堅演歌歌手軍団が寒いギャグをかますとか。20年くらい同じことをやっているように思う。水戸黄門の印篭のような偉大なるマンネリズム(偉大かどうかは意見が分かれるだろうけど)。

 さてそんな十年一日のごとき紅白であったが、終わってみると、今回はドリフターズえなりかずきで持っていた、というのが私の感想だ。

 紅白ではよく、世間で流行った定番ギャグをここぞというときに使うけれども、「オジサンは怒ってるんだぞー」「ガチョーン」など過去のそういうシーンでは、台本が安直なせいもあって、たいてい客の反応は冷ややかだった。ところが今回、いかりや長介が「8時4分過ぎだよ、全員集合!」と叫ぶと、会場は割れんばかりの大拍手。この客の心の掴み方はどうだ。お馴染みの聖歌隊も、歌手との掛け合いなど、アドリブ満載で盛り上げる。16年もの間、全員集合という生番組で培われた、客席を湧かせる技術がいかんなく発揮されていると感じた。これこそ紅白が必要としていたものだったのかも。

 えなり君も、カツゼツが良いし、歌もうまい(キーボードまで弾くとは知らなかった)。そして一番印象に残っているのは「紅組にビシッと言ってやってくれ」と言われたのにモー娘に「ファンなんです〜」と相好を崩す小コント。これもまた古典的なネタの1つではあるが、笑いをとったあとツッコまれるまでアドリブで間を持たす、その演技がなんともおかしかったなー。もちろん天然ボケではなく計算された演技である。若いのに歌もしゃべりもコントもすべて完璧にやってのける、恐るべき才能の持ち主。

 多くの出演者が半分嫌がりながら(?)ギャグをやっていた中で、70歳の長さんと17歳のえなり君は、マンネリ紅白で与えられた役割をキッチリ演じきっていた。もし紅白がこの先もずっとこのスタイルで行くなら、やはりこういう芸達者な人々が必要不可欠なのだろう。

 さて私事であるが、紅白の翌日、元旦に妹夫婦に子供が生まれた。幸い私も実家にいたので、生まれて1時間後の赤ん坊に対面することができた。これからが大変だと思うけど頑張ってほしい。
 そんな年末年始でした。

 本年もどうぞよろしく。