忘れ物を取りに行く

 『千と千尋の神隠し』の興行収入日本記録を樹立したそうです。観客動員数はしばらく前に記録更新したのに興行収入記録達成が遅れたのは、『タイタニック』と違って観客の中に子供が多かったからだね。天の邪鬼なので、通常なら皆が見るものは意地でも見るもんかと思うタチだけど、この映画は見てみようかなと少し思う。理由は宮崎監督が(ほとんど)初めて美少女でない少女を主人公にした作品で、一見の価値があると思うから。

 近況。先月、富山の大学に出かけて実験させてもらった時、うっかり資料などを置き忘れて帰って来てしまった。郵送して下さるとの申し出もあったのだが、先方に迷惑もかかるので、後日取りに行った。高速に乗って行くと下道よりも2時間ほど短縮できるが4000ナンボ払わなければならない。自分の時間あたりの給料を考えると、4000円払って2時間を節約するのは割に合わないと結論し、往復4時間かけて下道を運転して行ってきた。でも帰ったら疲れて仕事にならなかったので意味ないか。

 ここで学生時代のある後輩のエピソードを思い出す。休みに東京の実家に帰省し、また大学のある仙台に戻ってきた時、彼はミスに気付いた。アパートの部屋の鍵を実家に忘れて来たのだ。普通ならこういう時は実家の家族に鍵を郵送でもしてもらって、それが届くまで友人の部屋にでも泊めてもらうところだろうが、彼はプライドが高かったのか、その足でもう一度新幹線に乗って東京まで鍵を取りに戻ったという。なんてバカなやつだ、とその時は思ったけれども、金と時間を払うことで自分の失策を無かったことにしたい気持ちは今なら少しわかるな。もし彼が私の立場なら富山まで高速に乗るのも厭わないに違いない。アホなことをしてしまった時は、もっとアホなことをした奴を思い出して心の平静を保つに限る、というわけでここにネタとして使わせていただく次第です(器の小さいオレ)。