かぼちゃ大王ワルツ

 突然、昔TVで見たピーナツのアニメ「スヌーピーとかぼちゃ大王」(原題:"It's the Great Pumpkin, Charlie Brown")をもう一度見たくなって、レンタルビデオ屋で借りてきた。ピーナツはたくさんビデオが出ていていいなあ。
 ピーナツのTVアニメシリーズは1968年くらいから米国で製作されていて、初期の作品はヴィンス・ガラルディが音楽を担当していた。彼がピーナツ用に作った曲を最近になってジョージ・ウィンストンがカバーしたのがアルバム「Linus and Lucy」。それを聴いた時に私の心をとらえたのが「The Great Pumpkin Waltz」という曲だった。子供の頃アニメで流れていたのを聴いたはずなのに、申し訳ないがその曲の印象は全く残っていなかったのだ。で、どんな感じで使われていたのかなと思ってビデオを再見したわけだ。

 ウィンストンのカバーでは4分音符=100くらいのスローバラードとして演奏されていて、その寂寥感がなんとも心に染みたのだが、オリジナルは4分音符=140くらいの軽快な曲だった。ちょっと意外。「耳コピ」で書いたように、「Linus and Lucy」という曲は子供の頃から印象に残っていた。これは一つには「Linus and Lucy」が流れているときには台詞が少なくて曲の音量が大きいなど、音楽が前面に出るように作られていたからだということもわかった。「The Great Pumpkin Waltz」が流れているときは台詞が前面に出ていて曲は完全にバックグラウンドだった。だから印象に残らなかったんだな。

 アニメ作品そのものはなにせ33年も前の作品だし、今の日本人の感覚で見るとやや冗長だったりするが、絵本のような美しい色彩の映像とジャズのBGMが不思議にマッチして、アメリカ郊外の閑静な住宅街の雰囲気が良く伝わってくる。自分の作った作品世界にこんないい曲をつけてもらえた原作者シュルツは幸福だったなあと思う。もちろんガラルディもピーナツシリーズに曲を提供したことでそのメロディが長く人々の心に残ったのだから幸福だったろう。