作品の舞台裏

 何かのCMで流れていた「♪この川を下って行ってみよう 少年の旅は始まりました…」という歌が頭にこびりついている。例によってたずね歌がきっかけだ。僕も以前聴いた時、ちょっといい曲だと思っていたけどそれっきりだった。半日くらいかけてようやくメロディーを思い出したが、全体の歌詞や歌手はいまだに謎。誰か教えてー。

 もう一つ、ちょっと前に街で流れていた「♪Love me tender 言葉よりも…」という切ない感じの歌を突然思い出し、歌詞と歌手を調べる旅へ。サビの歌詞から、タイトルはたぶん『Love me tender』だろうと見当をつけ、CDTVのサイトで曲名検索したら、D-LOOPというグループがそのタイトルの曲を1998年に歌ったことがわかった。手持ちの月刊歌謡曲のバックナンバーでメロディを確認する。当たりだった! とりあえずほしい情報がゲットできたので一件落着。だが調べている過程で、D-LOOPファンサイトの掲示板でボーカルの女の子本人の書き込みを見たのだが、このユニットで活動していた頃は人生で最悪の期間らしく「思い出すのも嫌」と書いてあってちょっと驚いた。こういうケースは時々あるね。曲(または漫画、映画)の舞台裏でアーティストやスタッフどうしが衝突し、険悪な雰囲気のまま作品ができあがる。そうとは知らずにリスナー(読者、観客)はその作品に感動する。漫画などは1人で描いているように見えるが、実は完全に編集者との共同作業だ。また原作者と作画者の間でトラブる場合もある。
 もちろん共同作業は和気あいあいと最後まで行けるのがベストだけど、不幸にして人間関係がこじれた場合でも、ともかく作品は最後まで作り上げなければ何にもならない。作り上げさえすれば、誰かの心を動かすかもしれない。件のD-LOOP掲示板には解散後の今もファンからのラブコールが寄せられている。

 別件で98年の紅白のビデオを見返した。もちろんD-LOOPは出場していない。このステージにたどりついた連中の影に、消えていった歌手やグループが星の数ほどあったんだな、と改めて感じる。両者を分けるのはちょっとした運命の歯車だったりするよね。モー娘。だって2曲目の『サマーナイトタウン』がヒットしなかったら今頃消滅していただろう。ところでそろそろこのグループの略称には「。」をつけなくてもいいことにしてくれないかな。