蚊の時間

 プレステで『蚊』というゲームソフトが登場したらしい。蚊の立場に立って、人間の血を吸うことを目指すゲーム。実物はまだ見ていないけど、空中を自由に飛び回る蚊の目から見た映像がディスプレイ上に展開されるのだろう。絵として面白そうだ。ただしおそらくゲーム世界の時間軸は人間のそれと同じで、時々巨大な人間の手の平が自分に向かって猛烈な勢いで飛んでくるという仕掛けなのだとみた。
 実際のところどうなのだ? 人間が自分の腕に停まっている蚊を叩こうとするとき、並の早さで手を動かしたのではまず99%逃げられてしまう。余程気合いを入れて、蚊が油断するタイミングを見計らい、スナップを利かせて自分の手の平を素早く振り下ろすことに全神経を集中させてようやく五分五分の勝負になる。人間から見ると、蚊にはものすごい速さで時間が流れているのだと思う。小さい動物は時間の流れが速い、と『ゾウの時間・ネズミの時間』にも書いてあった。逆に蚊にとっては、自分に向かって振りおろされる人間の手など、おそろしく緩慢な動作に見えるはずだと思う。それこそ蚊が停まるくらいに。
 『パールハーバー』の予告編を見たけど、『蚊』もまさにああいう映像になるわけだね。というか映画の絵がどんどんゲーム画面のようにアクロバティックになっていく。ゲームに負けまいとしているのか。うーむ。

 この欄の文章、今までどんどん長文化する傾向にありましたが、あまり長さにムラができることを気にすると書きにくくなるので、もう長さにはこだわりません。これからは長い日も短い日もあるでしょう。あとタイトルもつけてみました。