日常 (5/2 - )

5/2 (火) 晴/曇、8〜16℃
 日本の共同研究先(2ヶ所)からメールをいただき、返信。パリの共同研究者から論文Dの書きかけ原稿をもらい、自分のアイデアを画像にして返信。原稿とは言うものの本当に骨子だけ。Skeleton という言い方をするのを初めて知った。

5/3 (水) 曇一時雨、6〜15℃
 論文Gの改稿方針を考える。論文Dの自分担当パートを執筆。

5/4 (木) 晴/曇、4〜17℃
 論文D(一部)仕上げて主著者に送信。同僚Bに教えてもらいつつ初めての装置でプチ製膜。土曜に Blois で行う実験の準備。主に配線。試行錯誤しながらで時間がかかる。夕食も職場でスーパーの食材で済ませて 23 時まで頑張る。

5/5 (金) 晴、6〜21℃
 土曜の実験用の配線つづき。ワイヤーボンダー用 Al 線を初めて使ってみる。細いのでコントロールしやすいと思って選んだ。夕食はケバブ屋で摂って 22 時半まで頑張ってなんとか準備完了。うまくいくかな。

5/6 (土) 雨→晴
 雨の中、装置をキャリアに載せて朝 8:03 の電車で Blois へ。実験(4回目)。今回でケリをつけるべく慎重に準備し、それでも起こるかもしれないあらゆるトラブルを想像しては精神的に緊張していた。果たして現場でも電源のヒューズが切れるなど想定外のトラブルがあったものの、同僚Mの助けで事なきを得た。ようやく論文Eの中で重要な部分を占める一連のデータを取れた。終わる頃には雨も上がり爽やかな気分でトゥールへ帰着。職場に機材を置いて、夕食はパスタ屋でワインで1人祝杯。良い日だ。

5/7 (日) 晴→曇一時小雨
 論文Dの序論を書く。夕方、気分転換に外へ出て動く書斎(トラム)で1往復しつつ書く。叩き台はできた。
 世間では大統領選(第2ラウンド)の投開票があり、大方の予想通りマクロンが次期大統領に当選。39 歳という若さですごいな。その資質や考え方に疑問を持つ向きもあるようだが、とりあえずリベラル派がトップに就くことには安心感を抱いた。

5/8 (月) 晴/曇、9〜16℃
 第二次大戦戦勝記念日で祝日。昼前から職場に赴いて、論文G(共著)の修正案を考えて共同研究先にメール。論文D(共著)の序論原稿を修正、主著者に送信。

5/9 (火) 快晴、8〜17℃
 論文Dのデータ修正版が送られてきて、今まで思っていたような綺麗な振舞いになっていないことが判明。ストーリーをどうするかしばらく悩まされそう。
 査読用原稿(3件目)読む。KKS に移動して XRD 測定。途中想定外の装置停止に見舞われたが、先日撮影した管理者によるメンテナンスの模様の動画を見ながら対処して事なきを得た。
 論文B(主著)の査読結果が返ってきて、またリジェクトを食らった。珍しく査読者が4名も付いて、2名は掲載可、2名はリジェクトだった。リジェクトの2名が詳しく内容にコメントしているのに対し掲載可の2名は短くそっけない文章だったので、リジェクト側が勝ったのだろうか。まあ問題ない場合は短い文になるのは自然だとも言える。評価がまっ二つに分かれたら「疑わしきは退ける」原則か。これも次の方針をどうするか悩ましい。
 あと 10 日ほどで休暇に入るので今はやる事が山積しているのに、夜はお笑いのネット映像を見まくってしまった。目の前の問題から逃避しているのだ。

5/10 (水) 晴→曇、5〜23℃
 論文Dについて考察。ガタガタした振舞いの 2/3 くらいは説明がついたが、まだ完全解決には至らない。論文Bの査読コメントを少し丁寧に読む。あまり納得できない内容だった。共著者のアドバイスを仰ごうと思う。
 査読(3件目)レポート書き、投稿。4件目の原稿を再び読む。

5/11 (木) 曇時々雨夕方雷雨、9〜19℃
 先週土曜の実験結果の整理。実験中にはわからなかった意外な傾向が見える。概ね綺麗なデータでよかった。ただロガーで取得したので、精度は恥ずかしいくらい低い。まあ今回はグラフにしてスムーズに見えれば良しとしよう。午後に研究所全体ミーティング。議題は、ウチが世間にアピールするウリを何にするか、らしい。

5/12 (金) 晴→曇→雨→雷雨→晴、11〜21℃
 論文Dについて主著者から送られてきたデータを元に考察。あちら側のミスを山ほど発見する。解析手法にも今更ながら疑問が湧いた。夕方、ゲリラ豪雨の下を KKS へ移動。試料をピックアップし、夕食し、職場に戻って考察の続き。

5/13 (土) 晴/曇、10〜20℃
 午前、論文Dの主著者に長文メール。昼からビームマンガ実況を見る。今回は山田参助回で、ゲストに夏目房之介枡野浩一。夏目さんはいつか来てくれると思っていた。あの「夏目の目」をたっぷり時間をとってやってくれた。山田氏に関しては、古い映画やマンガへのオマージュや人体のデッサンについて、ほとんど資料を見ながらではなく「記憶スケッチ」で描いていることが明らかになって驚いた。夕方にちょっと Petite Arche に買い出し。夜はユーロビジョン・ソング・コンテストを見る。そんなわけで昼 12 時以降は仕事モードになれないのはあらかじめわかっていた。

5/14 (日) 晴/曇、11〜22℃
 午後、プチ実験のため職場へ。方法を確立させるまでに若干手間取るが、一旦装置系ができてしまえばあとは自動でデータが生成される。研究一般にあてはまるな。

5/15 (月) 晴、8〜26℃、暑い
 朝早く目が覚める。思い立って珍しく出勤前に髪を切る。1週間後に日本で切ってもらうつもりだったが、あまりに伸び過ぎ、しかも今週は更に暑い日が続くようだから。行きがけに県庁に寄って新しい滞在許可証をいただく。職場ではプチ実験の続きや明日の実験の準備、製膜準備。事務職員Vに頼まれた研究所名簿用の同僚4名の顔写真を撮るなど。1名から断られるなど。夕方抜け出して税務署に収入調書を提出に行く。疲れた。

5/16 (火) 晴、13〜28℃、今日も暑い(明日までこんな感じ)
 久々に PLD 製膜1回。レーザーガスの寿命寸前で望みのパワーが得られなかったが、まあやらないよりマシだと。午後に KKS に移動して XRD 測定。長年の懸案の測定配置をいよいよ実行。一連のデータは取れたが、途中不可解な振舞いがあった。確認しようとリピートを始めたら、またも装置が想定外の停止をしてしまい時間切れ。ふう。

5/17 (水) 快晴→雨、12〜30℃、夕方まで暑く、その後急に涼しく
 KKS で担当職員に XRD のメンテをしてもらおうとするも彼女は水曜は来ないと知らされ断念。配置を撤収して職場へ。
 論文Bの再投稿計画を考へる。先週もらった査読結果を見返すうちに、ネガティヴコメントの多くは査読者の誤解によるものとの結論に至り、こんな査読に屈するのは理不尽だという反発心がムクムクと頭をもたげて来たぜよ。エディタに直訴する方向で、まずは共著者と意見を共有するためのレスポンスの下書きを書く。現時点では怒りを文章にぶつけているが、もちろん提出するときは感情はきれいに消し去って紳士的な文体に推敲するのである。
 夕食はパスタ屋で。

5/18 (木) 曇/雨
 論文Bのレスポンス案を共著者へ送信。
 論文Dに関する僕の質問に対して主著者から回答が来て、納得がいかないので同僚Aに相談。しばし侃々諤々の議論になるが、やがて合意に至る。彼は僕の考えに同意し、僕は彼から新たな視点を学んだ。
 論文Gの改稿原稿が主著者から送られて来たので、読みやすくするためセクションごとに切り貼りしてブロックにする。
 早めに退勤して、市中央図書館で借りていた本を返す。夕食は冷蔵庫に残っていた野菜や卵を炒めて処理。荷造りを始める。

5/19 (金) 曇/雨、9〜17℃
 書類書き。
 論文Dに関する同僚Aとの議論(続き)。今日も侃々諤々。なかなか 100% の理解には及ばないが、今日も新しい視点をもらった。
 今日も早く退勤し、一旦帰って夕食して荷物を持って 19 時頃に部屋を出る。TGV でパリへ。モンマルトル近くの安宿に泊まる。

 共謀罪衆院委で強行採決。このやり方はおかしいと主張する TV 番組はあるが、なぜ政権がここまで強引なやり方をせざるを得ないという背景に踏み込む議論はマスメディアからはあまり聞こえて来ない。