『ペリーヌ物語』(1978 日本アニメーション)★★★★★

 36 年目にして全話観了。基本名劇ファンの自分がなぜか1話も見た記憶がない(そのくせ OP・ED 曲はよく覚えている)。考証が不十分なためか、フランスが舞台なのにフランスで一度も放映されていない曰く付きの作品。間違い探しでもやるかという軽い気持ちで見始めたら、すっかり心を奪われて感情移入してしまった。もっと早く観ればよかった。
 主人公の造形や性格が、オーソドックスで突出したところがなく、最大公約数的な誰からも嫌われない人物に作られている。それがメジャーになれなかった理由の1つでもあるのだろうけど。後半、ぐんぐん出世街道を昇って行く過程は心地よくて見るのをやめられない。前半の苦難の旅のあとだから余計に。とくにクライマックスの、まさに刑事ドラマのような謎解明の瞬間、何度見てもうまいなあと。
 本放送当時、同じ日アニで並行して『コナン』が制作されていたり(永井一郎が両方で声の出演していた)、同じ原作者の『家なき子』も同時期に放送されていたり(両方とも音楽は渡辺岳夫だった)したことを今更ながら認識して「へえ」と思った。本作はこれらの作品の影に隠れていた面もあったかも。でも観ていた人はいずれも思い入れが強いようだ。
 当時は自分はペリーヌと同い年だったのに、今やビルフランの齢に近づきつつある。もう一度観ることはあるだろうか。