ディズニーアニメ+日本

■ 映画『シュガー・ラッシュ Wreck-It Ralph』リッチ・ムーア監督(2012 米) ★★★★★

 オススメをいただいたので DVD で鑑賞(英語音声、英語字幕つき)。面白かった。ファンタジーで私がこれだけ入り込めた作品は珍しい。
 主人公の1人、壊し屋ラルフは「世間から求められるキャラ」と「自分のなりたいキャラ」のギャップに悩んでいるという、現実の大人たちの多くが共感しそうな設定。もう一方の主人公のヴァネロペは仲間はずれにあっている少女ということで、これも子供たちの共感を呼ぶだろう。無愛想だが優しい大男、おしゃべりだが寂しがりの少女…これって『アーネストとセレスティーヌ』にも通ずる鉄板の組み合わせですね。お話はいつものように無難で幸福な結末に落ち着いたが、見せ方が上手く、最後はちょっと涙してしまった。

(英語版予告編)

 観終わった今、この作品における最も傑出したアイデアは、複数の世界(=複数のゲーム)を繋げて融合させる試みだったと思う。全く毛色の異なるゲーム間のキャラが、まるで異なる町や国を旅するように、電源ケーブルを通じて互いに行き来し交流する。おかげでバイオレンスとキャンディーポップといった両極端な要素が共存して、異常に振幅の激しいドラマが現出した。さまざまなキャラが同じ画面に存在する様子は、複数の漫画家による合作漫画に似てる。漫画でそれをやると結局世界観がちぐはぐになりがちだけど、CG アニメにしたら不思議に受け入れられるものだな。

 映画内ゲームの『シュガー・ラッシュ』は日本で作られたゲームという設定で、登場する少女レーサー達は原宿の少女たちを参考にデザインされたとか[ソース]。AKB48 の歌も本当に、日本語歌詞を含んだまま世界各国版で使われているんだね。もしかしたらディズニーアニメにここまで「日本」が色濃く描かれたのは史上初のことではないか? カワイイ少女たちは勿論、じつは特殊技術で何でも直してしまうマジメなフェリックスも日本人のカリカチュアなのかも。考えすぎ?