どうしてもどうしても日本的杓子定規役所仕事を突き破れなかった話

 日本学生支援機構( 旧・日本育英会)に今年6月から奨学金の返還をすることになり、自動払込利用申込書の用紙が郵送されてきた。返還開始の約2ヶ月前に提出せよとの要請。書面上に、引き落としに使う自分の口座の届出印を押す欄がある。必ず届出印と同じ印である必要がある。
 ところが折悪しく、あらゆる届出印に使ってきた印鑑を年頭にバッグごと盗まれてしまったのだ。

 その後、新しい印鑑を母が調達して送ってくれた。支援機構への書類にはそれを捺印するしかない。並行して、自分の口座の届出印をこれに改められれば問題解決だ。
 で、母に金融機関の窓口へ出向いてもらったのだけど、係員から改印は無理と返答されたという。通常、改印届は本人が窓口へ来て行なう必要がある。代理人を立てた場合は、窓口担当者が本人に電話をかけて確認するそうだ。しかしそれは本人が国内にいる場合であり、海外への電話はかけられないとの一点張り。しきりに「一時帰国した時に来て手続きする事はできないんですか?」と訊ねられたという。

 少々納得できず、自ら国際電話で金融機関の担当者に話を聞いて、わかったことは、そもそも住民票が日本にない人は口座を持つことができないのだということ。そうだったのか! 上述の「海外への確認電話がかけられない」というルールもそのためかも。
 そこをなんとか、と電話口で粘って、本人確認できる公式書類(と委任状と新印鑑)を代理人が窓口に持参すれば OK との言葉をもらった。光が見えた、とこの時は思った。そこで手元にあった新印鑑と運転免許証を委任状とともに母に郵送し、再び金融機関へ行ってもらうよう頼んだ。
 それでも結果はダメ。やはり「海外に確認電話をかけられない」点が障壁になった。ちなみに電話で相談した時に OK と言ってくれた担当者は、4月1日付で異動になってしまったという。

 仕方が無い、5月下旬に一時帰国した時に自分で改印手続きをしよう。6月の返還開始には間に合わないだろうが、まあ少し遅れるだけで損はないと思う。
 しかしこれだけ頑張っても突破口が開けないというのは久々に味わう無力感。もしもサインで済めば何の問題もなかったところだ。これは印鑑という制度の弱点だな!