10 月の記録

 10/31 (水):晴→一時雨、8〜12℃ 郵便局で試料郵送して出勤。論文構成、並行して参考文献収集。同僚Vと光学測定の段取り。/書籍『ローテクの最先端は実はハイテクよりずっとスゴイんです。』赤池学(2000 ウェッジ)読了。★★★★☆ 企業のものづくり現場で生み出され活かされている、知られざる職人技術や世代間の技術継承システムの数々。『プロジェクトX』『メタルカラーの時代』や一連の小関智弘氏の著書が好きなのでこれもタイトル買いしたのだが、本書は学術寄りで、予想に反してとても真面目な内容だった。編集者がつけたこの書名に著者がはじめ難色を示したというのもよくわかる。あと、1つの企業の紹介が7ページという文章量ではちょっと駆け足過ぎだと感じた。

ローテクの最先端は実はハイテクよりずっとスゴイんです。

ローテクの最先端は実はハイテクよりずっとスゴイんです。

 10/30 (火):晴、0〜13℃ 寒暖の差が激しい。昼はジャケットを脱いで歩くくらいポカポカ陽気だった。朝、KKS へ。空いていたのでその場で SEM 観測。昼食後職場へ。今日締切の査読レポート書き、完成、送信。調査過程でいろいろ勉強になった。夕食後また職場へ。日本の共同研究者に試料を郵送する準備。
 10/29 (月):晴、2〜13℃ KKS へ。XRD 試料回収。その後同僚J、Eと共にEの試料を SEM & EDX 観察。論文化に向けて戦略を立てる上で示唆に富む結果で良かった。午後職場へ移動しデータ解析。帰宅後『刑事コロンボ 悪の温室』ボリス・セイガル監督(1972)観る。★★★★☆ 3日連続。コロンボにハマっているのは、じつはコロンボの仕事の流儀が自分のお手本になるとわかったから。ささいな疑問も徹底的に考え続ける。手がかりや証拠をひたすら地道に集める。人に疎ましがられようとも飄々とした態度で話を聞き出す。あまりに身なりに無頓着なのは問題だけど、自分はもう少し彼のように脇目も振らず研究上の課題に執着したほうがよいのではないか。
 10/28 (日):晴、0〜10℃:ヘェー、そんな下がったの。そりゃア寒いわけだ(← コロンボの声で) 夏時間が終わり、通常時間に切り替わった。職場へ。明後日締切の査読原稿を苦労して最後まで通読。帰宅後夕食しつつ DVD『刑事コロンボ 第三の終章』ロバート・バトラー監督(1974)観る。★★★☆☆ 犯行のトリックが複雑になりすぎるとついていくのが大変ですな。本編よりも、被害者を演じた俳優が『マイク・ハマー』シリーズを書いた本物の小説家だったとか、コロンボの台詞に出てきた「うちの署にも書く奴がいまして」が実際に当時ロサンゼルス警察に勤めながら小説を書いていた作家を指していた、といった裏話が面白かった。
 10/27 (土):晴、3〜9℃ iDisk 終了により表示されなくなっていた当ブログの画像のうち 2010 年 1 月以降の分を再 UP(ただし新聞記事画像への直接リンクで元が消えているものは除く)。Petite Arche に買出し。夜、DVD『刑事コロンボ 二つの顔』ロバート・バトラー監督(1973)観る。★★★☆☆ 本シリーズには珍しく、視聴者も解決編でアッと驚く趣向の一作だが、この DVD の仕様でオチを事前に知ってしまっていた。くそう。コロンボが姿勢を崩さず階段を小刻みにタタタタタと降りる面白い仕種、『ラヂオの時間』の細川俊之らが階段をタタタタタと降りるシーンの元ネタだろうか。
 10/26 (金):曇→小雨、3〜8℃(そんな寒かったのか) 朝から KKS にて SEM と XRD。今回はX線の強度が十分にあった。きのう誰かが調整してくれたのかな。おかげで前回できなかったいくつかの測定ができた。最後の1測定は時間がかかることが分かったので、週末運転をしかけて退勤。夕食:牛ポトフ。
 10/25 (木):曇/霧、10〜14℃ 昨日買った抵抗器を使ったヒーターの工作。同僚Mと次の光学測定の相談。試料の真空中熱処理。
 10/24 (水):快晴、10〜18℃ 職場で準備して KKS に移動。途中パーツ屋に立ち寄って電子部品購入。XRD。配置を変えねばならなかったり、途中で制御がいきなり off したり、強度が出なかったり。実験結果もあまり幸せなものではなかった。疲れたので夕食は安パスタ屋で。
 10/23 (火):快晴→曇、10〜21℃ 製膜2回。Ti1-xVxO2 (0≤x≤1) の格子定数とイオン半径の関係について倩(つらつら)と考へる。帰宅後Jコミで『だいらんどがぁさん(1998-99)読む。★★★★★ 現実世界で酸いも甘いも噛み分けたオトナの男が、もしも童話の世界に迷い込んだらどんな行動をとるか、というお話。ハリポタ映画以来ファンタジーは苦手な自分だが、これにはやられた。構成も台詞もビシッと決まってる。
 10/22 (月):快晴、13〜21℃ 2ヶ月ぶりの製膜3回。17 時に職場を出て仕事用材料を探しに Leroy Merlin に赴くも目的は達せられず。
 10/21 (日):曇、14〜20℃ 8月末に角刈りにされてしまった髪がようやく普通レベルまで伸びて来た。襟足だけ伸び過ぎなので少々切る。職場へ行くも取り立てて何もせず。GarageBand で『黄金の日日』メインテーマを打ち込む(途中)。

 10/20 (土):概ね雨 起床前から左後頭部が周期的にチクッと痛む。何かの前触れか? 家に TEL。Petite arche に買出し。酒を飲みつつ DVD『刑事コロンボ 野望の果て』ボリス・セイガル監督(1973)観る。★★★★★ 登場人物が多くエピソードも多彩で充実した一編。ラストで犯人が観念した後の仕種が描かれなかったのだけは消化不良だったけど、動かぬ証拠を突きつけて「逮捕します」で終わるケースもアリといえばアリだな。コロンボシリーズは毎回趣向を変えていて、マンネリにならないのがいい。今回の犯人役はジャッキー・クーパー(『スーパーマン』の編集長役)。おっ!と思うような俳優に予期せず会えるのも楽しい。
 10/19 (金):曇時々雨強し、14〜16℃ 2ヶ月ぶりチャンバー真空引き、同時に PLD 部屋の整理少々。XRD 測定について考える。
 10/18 (木):曇時々雨 KKS で XRD、そしてその場で予約入れて SEM。中途半端な時間だが早めに帰宅し夕食して夜に職場へ。実験結果の考察。/8月末に発注し「納期8週間」と言われていたガスボンベが、本日私の不在中に納品されてしまった。引き換えに空になったボンベを返却せねばならず、いつ来るかわからないので昨日最後の注入を行って空にしておいたのは良いが、迂闊にもキャビネットから外していなかったため引き渡せなかった。あと少しのところで成功を手中にできなかった!オレの馬鹿!でも「ボンベ回収業者は毎週のように来る」「納品日を前もって業者に訊いておけばいい」と教えられ、今までの苦労は意味が無かったと知る。
 10/17 (水):雨、11〜17℃ 製膜計画。11 月に行なう小ミーティングの日程調整。2ヶ月ぶりにレーザーにガス注入。ボンベの残量が足りず、通常圧力に達しなかった。が発振はなんとかできた。夕食:これも久しぶりに圧力鍋を使って鶏ポトフ。以前は流れ作業でやっていた作り方をすっかり忘れている。
 10/16 (火):快晴、10〜16℃ 同僚Eと研究打ち合わせ。物品発注。休み前にやり残した仕事をほじくり返して未解決事項を少しずつ処理。工作してもらう物が沢山ある。先が思いやられるが、できることから一つずつ。/妹一家、エストニアへ。
 10/15 (月):快晴、3〜15℃、寒くなって来た 査読レポート完成、送信。ポンプとオーブンの移設。プロジェクトBの状況を世間の成果と照らし合わせて方針を考える。次の査読原稿読み開始。午後は寒さのせいで少々体調が悪かった。/書籍『戦後史の正体』孫崎亨(2012 創元社)読了。★★★★★ 昨年からの原発・TPP 問題をきっかけに自分が抱いていた「日本は長年、米国に蹂躙され続けている」という危機感を、豊富な物証で実証して見せてくれた。読みながら感じていた「では日本はどうすればよかったのか? どうすればいいのか?」という疑問に対しても、あとがきで回答案を与えている。それが奏功するかはわからないが。個人的には高校生にも読める文体で書いてくれているのも有り難かったわ、そうでなければ正直言って自分には通読は難しかったろう。

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書1)

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書1)

 10/14 (日):雨→曇、9〜13℃ 雨だし別に急ぎの用はないし外出せず。ジェット歯洗浄機を使ってみる。連続的でなくパルス的に水が出るのか。周囲が水浸しになった。
 10/13 (土):雨、9〜11℃ Petite Arche に買出し。眼鏡につける紐や、ジェット水流歯洗浄機を買う。ジャケットは品定めのみ。買うのはまた今度。夜”ワインと DVD の夕べ”を復活させて『刑事コロンボ ロンドンの傘』リチャード・クワイン監督(1972)観る。★★★★★ ロンドンの風景は落ち着くね。最後にコロンボが歩いて行く先に建っているロイヤル・アルバート・ホール、僕も 2008 年に訪れた時に写真を撮りましたよ(向かいに蝋人形館は無かったと思う)。学のない使用人、冗談の通じない刑事など、お話全体が当時の「米国から見た英国」を表わしているんですかね、興味深い。ラストで犯人が正気を失ってしまうところもそうなのかな…。
 10/12 (金):快晴、11〜16℃ 技術職員Sにターゲット作成依頼。査読レポート下書き。午後、学生NのD論公聴会を聴講、その後パーティ。先週の学生と違って彼はまったくの普段着だった。理論物理だからな。パーティでフランス人とインド人と雑談、帰りのバスでアフリカ系アメリカ人と雑談。
 10/11 (木):雨時々晴、14〜19℃ KKS で同僚Eの作成した試料の SEM 観測。面白い試料だった。午後職場へ。次に作成すべき薄膜について文献調査。

 10/10 (水):晴、16〜21℃ 今後の計画。夕方、今度こそ出来たというメールが来たので、眼鏡を店で受け取る。やはり 2100 円で買った出来合いの眼鏡よりラク(当たり前)。でも 2100 円の方も予備としては十分。
 10/9 (火):曇一時雨、16〜20℃ 日本から持参したダイアフラムポンプを通常の実験室の 220 V で使うためにトランスの配線をしていた。夕方、SEM の予約のためだけに KKS へ。/休み中に日本で IC レコーダに録音していたラジオ語学講座の音源を iPod に移植する作業をする。手順:(1) 職場の Windows PC にコピーし iTunes で読み込む (2) Windows Audio Player ファイルだったのを iTunes 上で AAC 形式に変換 (3) それを USB メモリで自室の Mac に運んで iTunes で読み込む。1 GB の USB メモリがほぼ一杯になった。
 10/8 (月):曇→雨、13〜21℃ 予算打ち合わせとか出張の切符の提出とか。昼、抜け出して証明写真を撮りに写真店へ、その足で県庁へ滞在許可証申請に。私の前に窓口で係員と滞在許可か何かをめぐってやりとりしていた女性が不意に気を失って床に崩れ落ち、救急車のお世話になる騒ぎがあった。ショックなことを言われたのか。自分を含め外国人がいかに気を張って生き、しかし行政の強固な壁の前にいかに脆い存在か。いたたまれなくなる。職場へ戻って共同研究者K氏にメール。
 10/7 (日):曇→雨、13〜17℃ 部屋の掃除。夕方、職場へ。書類整理。
 10/6 (土):曇→雨、13〜18℃ 午後、眼鏡店に赴くも眼鏡はまだ出来ていなかった。店からのメールの「出来上がったら連絡しますから取りに来て下さい」の前半部分を理解せず、もう出来上がったものと勘違いしていた。Petite Arche に買出し。淡々とした日常が戻って来た感じだ。夕食せず寝てしまう。
 10/5 (金):曇、14〜21℃ 1週間ぶりに出勤。忘れていたが同僚の学生SのD論公聴会の日だった。みんなして聴講し、終了後パーティー。いい気分になっていたところへ、グローブボックス内のリチウム金属リボンの大部分が酸化されて使えなくなったと連絡を受け、ショック。原因が全く分からない。とりあえず写真を撮って来週業者に連絡だ。購入時の手間と費用を考えるとおいそれと交換や書い足しはできず、当面は酸化されていない部分を使って仕事するしかない。嗚呼…。リボンが思ったより長そうなのが救い。/MONOPRIX で買い物して帰宅。
 10/4 (木):雨→曇→晴(リール)→雨(トゥール) 荷物を預けてチェックアウト。リール市立美術館。昼食後、オスピス・コンテス博物館。老舗菓子店メールで職場への土産にチョコレートを買う。サンピエールデコーへ乗り換えなしで行く TGV に乗り、途中 25 分ほど遅れ、トゥール着。安パスタ屋で夕食して 21 時頃自室着。台北・東京・松山・神戸・北海道・ブリュッセル・アペルドゥールン・リールと駆け巡った嵐のような6週間が終わった。明日から 12 月までは職場で粛々と仕事します。
 10/3 (水):雨 WOE3日目。電車の関係で 11 時頃に会場を後にする。5名で電車でスキポール空港へ、そこでレンタカーを借りて高速道路をリールへ。8時間の電車と車の旅。高速の渋滞がひどく結局今日中にトゥールにたどり着けず。パリとリールのどちらに泊まりたいかと聞かれ、迷わずリールと答える。かくして1人リールで予約なし飛び込み投宿(フランスで初)。安宿としてはまずまずの部屋。
 10/2 (火):曇 WOE2日目。同僚Jから、今夜から明日にかけてベルギー全土で鉄道がストライキする旨伝えられ、大ショック。明日ブリュッセルで泊まる案の変更を余儀なくされた。彼の提案に従い同方面の5名でレンタカーで帰ることに決める。夕方、自分のポスター発表。議論してくれたのは日本人の方々のみ。夕食はバンケットだが昨夜よりも貧相なバイキング。今回の WOE は会場代に主要な予算を割いてしまったのだと思われる。
 10/1 (月):晴 WOE1日目。会場は「ヘット・ロー」という豪華な王族の宮殿。だが口頭講演会場は狭い。珍しいことに細長い部屋の長辺側にステージを置き、左右が 30 m、奥行きが 5 m くらいの超横長の配置になっている。マイク係もおらず、質疑応答のたびに座長がマイクを持って右へ左へ走り回る。夕食はオプションで 35ユーロ払ってバイキング。同席した学生さんが「3500 円分の元を取る!」としきりに叫んでいた。少なくともカツカレーよりは豪勢な食事だった。