マリさん

モーニング・ツー
 いま、発売と同時にウェブ上で1冊丸ごと無料公開という大胆な試みをして話題になっている。日本にいた頃は本屋でパラ見はしても買ったことはなかった雑誌だが、この週末にネットで見ていたら予想以上にハマった。他に日本語で読める漫画が限られているという理由が大きいけど。
 とくに『マリさん』1-3 話(矢寺圭太)に胸の奥をわしづかみされてしまった。純情な男子大学生が先輩の彼女に片思いする、というよくある話ではある。まだ発展途上な絵柄。21 世紀にこの顔かよ、とツッコミたくなるドングリ眼の主人公。彼のモラトリアムな青臭さ。一歩間違えれば失敗作になりそうだけど、それでも私がこの漫画から目が離せなくなってしまったのは、マリさんの謎めいたキャラのせいかな。天使のようなあどけない素直な言動の反面、節操なく誰にでもついて行く彼女の奔放さがすこしずつ明らかになっていく。それにいちいち悶々とする主人公はまるで昔の自分のようだ。映研が舞台である点も、たまたま自分と共通しているので余計に感情移入する。もうハタチの頃の自分ではないと思っていたのに、いまだに自分の本質はこのドングリ眼の青臭い少年と何ら変わらないのか…と思うと愕然としたり。そんなわけで、物語を結末まで見届けたいと切に願っている。