Mac版PowerPointの使いづらい点

 部品の設計図を描くとき、CAD ソフトなどを持っていないし、長年使っていたマックドローも現在は使えない環境なので、しかたなく PowerPoint (PP) で代用している。この目的に限っては Windows 版の PP が使い心地が良く、Mac 版 PP で同じことをやろうとすると何かとイライラする。その原因を突き詰めて調べた結果、Mac 版 PP ではルーラーの目盛りおよびグリッド間隔にウソがあることがわかった。世間では有名な事実かもしれないけど。

 バージョンは Office 2004 for Mac で、A4 用紙を横長に使う場合を例にとる。基本のページ設定は幅 10 インチ (25.4cm)、高さ 7.5 インチ (19.05cm)。ところが、ルーラーの単位を cm に設定している場合、書類上部に現れるルーラーの左端から右端までの目盛りが 24 cm ぶんしかない。本当は 25.4 cm のところを 24 cm と銘打っているので、ルーラー上の 1 cm は実際には 1.06 cm になる。もしルーラーを信じて 10 cm 角のつもりの正方形を描画すると、印刷された図形は 10.6 cm 角になっている。グリッドも、2 mm 幅に設定しているはずなのに実際には 2.12 mm 幅。
 オブジェクトのサイズ情報は正しい。たとえば四角形を描画して、ダブルクリックしてオブジェクトウィンドウを開き縦横のサイズに 10 cm と入力すると、本当に(印刷しても)10 cm 角の正方形になる。それは良いが、グリッド幅が 2.12 mm という半端な値なので、ミリ単位の描画にはグリッドに合わせる機能が役に立たない。Mac の PP においてルーラーが正確でグリッドも快適に使えるのは、単位がインチに設定されている場合だけだったのだ。

 比較として WindowsPowerPoint 2003 を見てみる。ルーラーの値は端から端までが 25.4 cm と表示されるので正しい。グリッド幅も正確に 2 mm なので、合わせ機能が使いやすい。なので、メートル法の国で厳密なサイズの描画を PP 上でせねばならない場合は Windows でやるべし、という結論に。Win 版 PP の不便な点は、インチ ←→ cm の切り替えが PP 上ではできなくて、いちいち OS 本体の設定を変更しなければならない点かな。逆に言うと Mac 版 PP は単位の切り替えを容易にした代わりに、表示と実際の長さに齟齬が生じるという犠牲を払ったのか? まあ PP で製図なんかするなよ、という話ですな。